スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Kenny G 「Legacy Featuring “The Sound” Of Stan Getz」

友人から教えてもらったのですが、ケニーGがゲッツと「共演」したものがあるとのこと。Youtubeで確認してみました。

Kenny G - Legacy Featuring “The Sound” Of Stan Getz (Official Audio) - YouTube

聴いてみると、ナタリー・コールナット・キング・コールの共演と同じ、コンピューターによる音源抽出による疑似共演でした。ゲッツでも初めてではないですね、ダイアン・シューアが「Friends For Schuur」で「共演」しています。

ただ、こちらのケニーGとの「共演」のフレーズは聴いてみてもまったく記憶にない演奏。いったいこれはどの音源なのだろう?と思いました。どうやら「People Time」の「Soul Eyes」だそうです。うーん、これはフレーズを抜き出してくる場所もきっちり切り取っていないようだし(じっくりと検証はしていませんがけっこうバラバラに抜き出してきて組み合わせてるのではないか?)、さらに元の曲のハーモニーも変えてまったく別の曲に再構成してるんですよね。で、1つのフレーズを何回も、まるで既成曲のAABA形式のように繰り返している。ゲッツはAABA形式の曲でも同じことはしないので、それもすごく違和感を覚える。ゲッツは絶対にこういう演奏はしない。そういうこともあって、この試み自体に文句を言うつもりはないのだけど、このハーモニーにゲッツがこのようにアプローチしたわけではないし、このトラックを全然いいと思えませんでした。ケニーGファンの側からはまた違った意見になるのかもしれない。

そんなこと考えていたら、つい最近以下のWebページを見つけました。

Should Kenny G Make a Record with a Software Reconstruction of Stan Getz?

投稿者?著者のTed氏のことは知りませんが、ゲッツと親交があったそうです。そもそもケニーGが発表した文章に「このスタンがかつて演奏したことのない全く新しいメロディを作るために、サンプルノートを利用しました」と記載されているとのこと。切り貼りしてるんですね。Ted氏曰く、ケニーGがルイ・アームストロングと「共演」したときは「まだサッチモの貢献が楽しめた」、おそらくそれは切り貼りではなかったのでしょうね、ですが「この新しい録音のゲッツの「サウンド」は、本当にフランケンシュタインの発想であり、部品を集めて縫い合わせたもの」と言っています。そして「ゲッツが演奏しなかったメロディにゲッツの名前を関連付けることを支持しない」と言っています。また、余談っぽく「この手の死者復活プロジェクトは実はデータが足りなくてそっくりさんのデータも使っている」ということを言っています。これがそうだとは言っていませんが。

Ted氏は言葉はおだやかながらかなり不満なのでしょうね、旧約聖書のエピソードを持ち出して「ヨナを飲み込んだ大魚が(ヨナのような)預言者になるわけではありません。」と言っています。

The Incomparable Nat "King" Cole

DVDなので従来どおりスルーしてもよかったんだけど、一応ジャズ批評ディスコグラフィに記載されているのでとりあげてみた。ナット・キング・コールのバックでゲッツを始めスタープレイヤーが歌伴をしている。オスカー・ピーターソンレイ・ブラウン、ジョー・ジョーンズ、ロイ・エルドリッジ、コールマン・ホーキンスハーブ・エリス。ゲッツはからんでいないけどエラ・フィッツジェラルドとの共演シーンも。コールが主役であり、カットもあって断片的な演奏もあるんだけど、モノクロ映像時代1957年のゲッツの映像は貴重。ホーキンスと並んで2テナーの演奏をしているのもレアでしょう(珍しくこの時期のホーキンスにしては悪くないし)。そもそもコールとの共演自体がレア。ゲッツのソロは短いからこそしっかりまとまっていて、文句なしです。Youtubeにも動画がアップされています。ゲッツというよりは古いジャズが好きな人にはお勧めの映像作品。

「summertime」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

ガーシュウィンによるスタンダード「Summertime」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは6テイクの録音を残しています。動画は追いきれないのでノーカウント。たった6テイク?それも、うち1つは歌伴です。もっと多いと思ってたけど。

もとはオペラの曲ですが、タイトルから受ける印象とは違う暗い曲想で、昔はこの曲どこがいいのかさっぱりわかりませんでした。

さて、ゲッツの演奏でおそらく一番有名なのは1955年「West Coast Jazz」収録のものか。淡々と演奏していて雰囲気はいいです。それよりもテンポをぐっと落としてしっとり演奏しているのが1959年「At Nalen-Live In The Swedish Harlem」での録音。サイズについての打ち合わせができていなかったのか、最初のテーマが終わってヴァンプ的になったところでゲッツが少し様子を見るのがわかります。え、この2テイク、C#マイナーで演奏してる?私はFマイナーでしか演奏したことないですね。

それから大嫌いな1964年「Live In London Vol.2」。こっちはAマイナー。確かにこの曲はいろんなキーで演奏しやすいとは言うけど。うん、このテイクはピアニストがさほど気にならない。ここでの演奏は直前の3月4日にスタジオ録音された「Nobody Else But Me」収録のテイクと似ている雰囲気。リズムセクションが違うからまったく同じではないけど、ゲッツのフレーズも同じものが登場します。このスタジオ録音と、同じくゲイリー・バートン入りカルテットのライブ録音である「Getz Au Go Go」収録テイクは、4ビートではあるものの3連のノリを前面に出しているのが特徴か。個人的には「Getz Au Go Go」でのテイクが特に名演に思えるところ。

最後に、1987年の歌伴が「Swing Street /Barry Manilow」に収録されています。出だしはルバート気味にダイアン・シューアのボーカルにからみ(こっちはCマイナー)、2コーラス目にはバリー・マニロウが入る(こっちはGマイナー)。コーラスの7小節目から8小節目、ゲッツは転調させて同じフィルフレーズを吹くのがかっこいい。歌伴で、ゲッツのソロパートは前奏とエンディングだけだけど、歌のバックでもけっこう吹いていてかっこいい。