スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Stan Getz Quartet In Paris

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もともとは下のアルバムだったものを、分散していた音源を集めてユニバーサルが「Jazz In Paris」という企画で再販したもの。

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「Jazz In Paris」けっこうたくさん出ていて、ボックスにもなっている。

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アナログレコードはヴァーヴから出ていて、権利関係がよくわからない。さて、このアルバム、ジャズ批評では高評価だったけど、私は数あるゲッツのアルバムの中でワースト3に入ると思っています。その理由はロイ・ヘインズ。彼がすべてをめちゃくちゃにしている。

ヘインズは個性的といえば聞こえはいいけど、好き勝手に叩いているだけ。トータルで良いサウンドを作る気がないのかセンスがないのか。ベーシストに多いけど、バッキングとソロの境界を考えず自分がフロントであるかのようなプレイをする(ように聴こえます)。多彩な音色も、ヘインズのファンにとってはいいのだろうけど私にとっては「曲想に合ってない」と一刀両断です。

まず冒頭の「Manhã De Carnaval」、スティーブ・スワロウのソロのみでゲッツはソロなし。スワロウのソロは休符を意識していない、いかにも技術がないベーシスト特有のフレージングで、おまけに音量バランスがわるく、低音中心で輪郭もはっきりしない。途中でスケール的なミストーンも発生する。

次の「When The World Was Young」はゲッツが美しく幻想的な世界を作る。これは良い。しかし3曲目「Singing Song」は再びゲッツがやる気をなくしてか、ほぼゲイリー・バートンのソロのみ。ゲッツはラストテーマ前半の半コーラスがソロと言えばソロという程度。ポコポコというヘインズの音が耳に障る。

続く「On Green Dolphin Street」はやけにホットなゲッツのイントロで、他のテイクでは聴けないテンポでのこの曲が繰り広げられる。しかしヘインズの自分勝手なドラムがわかりづらく、何度か仕切り直している。

6曲目「Edelweiss」はバートンの完全ソロ。このアルバムでもっとも聴く価値があるのは「On Green Dolphin Street」のイントロとこの曲でしょう。

そしてラストの「The Knight Rides Again」。ヘインズのドラムソロは、重量感も技術も多彩さもなく、構成もない。バスドラとシンバルを延々と鳴らしているところなんかは創造性の欠如をも感じてしまう。

すみません、あまりゲッツのアルバムに不満を言いたくないのだけど、このアルバムは聴くたびにそう思ってしまうのです。

 

ところで、このアルバム、冒頭に「分散していた音源」と言いましたが、微妙にジャケットが違うヴァージョンがあること知ってましたか?デザインはかなり違うけど、ゲッツの足の開きも違う。(多分)フランス盤のこちらとまとめたわけです。が、こちらに入っていた「Sween Rain」「O Grande Amor」はなぜかCDには収録されませんでした。 

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似ているジャケットでこんなのもありますが、これは「Sween Rain」「O Grande Amor」未収録のようです。

 

In Paris

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