スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。めったに更新しませんが生きてます。

Stan Getz In Chappaqua

本当はここでとりあげるべきではないのかもしれないけど、やはりこれは言っておいた方がいいと思うので、今回はこのアルバムを。アンディ・ラヴァーンの「Stan Getz In Chappaqua」。

最初に結論を言いますと、このアルバムにゲッツは参加していません。でも選曲を見てください。

1     Lester Left Town
2     Dear Old Stockholm
3     Early Autumn
4     Eiderdown
5     Blue Serge
6     Windows
7     Bossa Nova Medley: Desafinado/O Grande Amor/The Girl from Ipanema
8     500 Miles High
9     Stan's Blues
10     Stan Getz in Chappaqua

どうですか、「10」以外は完全にゲッツの演奏曲じゃないですか。「10」だって単に「Chappaqua」というタイトルならゲッツが演奏していた曲のタイトルになる。

これ、AIに「スタン・ゲッツは参加しているの?」と聞くと、本ブログを書いている時点ではこういう回答が返ってきます。

↓

「はい、アンディ・ラヴァーン(Andy LaVerne)のアルバム『Stan Getz In Chappaqua』(1990年録音)に、スタン・ゲッツ本人は参加しています。このアルバムは、ラヴァーンが自身の長年の共演者であるスタン・ゲッツをゲストに迎えて制作した作品です。

  • 詳細: スタン・ゲッツの自宅のスタジオ(チャパクア)で録音が行われた、実質的な共演盤です。
  • 内容: ゲッツのクールで歌心あるテナーサックスがフィーチャーされています」

はい、まるっきりの大ウソです。典型的なハルシネーション。このアルバムは1997年録音。つまりゲッツが亡くなったあとです。

ちなみにアマゾンでは英国のレビューが投稿されています。英語のままだとわからないので日本語に翻訳すると、こうなります(ママ)。

↓

「CDのフロントスリーブと背表紙には「アンディ・ラヴァーン・カルテット、スタン・ゲッツ・イン・チャパクア」と明記されていますが、テナーサックス奏者はドン・ブレイデンであり、アンディ・ラバーンが以前に演奏して録音したスタン・ゲッツではありません。」

はい、ということでゲッツは関係ないアルバムなのですが、誰かが間違って買ってしまわないように、ここで警告をしておこうと思いました。ほぼ誰も見ないブログですが・・・

Bern 1978


1978年4月27日、スイス、ベルンでのライブ録音(しかしこのジャケット写真、ゲイリー・バートン入りのカルテットのものじゃない?)。1978年の、ボブ・ブルックマイヤー入りで、アンディ・ラヴァーンがいて、パーカッションが参加しているというと、ゲッツファンなら「ああ・・・」とうんざりするかもしれない。曲はいつもの「Jet Rag」や「Academy Of Love」そしてとにかくつかめない「Anna」。マニアでなければ買わないw(いや、マニアでなければこの情報だけで買う気になれないという気持ちはわからないか)

しかし曲名を見ると、「La Fiesta」「Infant Eyes」の文字が。え?これをクインテットでやるの?と驚く。「La Fiesta」に関してはチック・コリアとの共演だけが良くて、アルバート・デイリー入りのものはどれも最悪という実績があるだけに、そのあたりも出来具合に興味がある。

ということで聴いてみると、音質も悪くなく、「Jet Rag」「Academy Of Love」などは他の録音よりはいい演奏なのではないかと思う。「Anna」はあいかわらず意味不明だけど。全体的に音源をカットしているのか、拍手がやたらと短く、すぐにMCが入る。それと、ゲッツのMC、このアルバムだけではないんだけど、メンバーの出身地を言うのは何なのだろう、アメリカではそれが普通なのか。

「Academy Of Love」のあと、なんとMCで「チック・コリア!」という言葉が聴こえる。英語わからないから正確なことは言えないけど、どうやらチックがゲストで参加したらしい。そのあたりの拍手もかなり短く、すごく長ければ本物が出てきたからだろうと推察できるのだけど。

まず「Infant Eyes」、ラストのピアノのカデンツァの見事さと長さから、やはりこれはチックなのだろう。ここからは、思った通りブルックマイヤーははずれてワンホーン。続く「La Fiesta」は、ワンホーンで、パーカッションがいるから初演のアイアート・モレイラのような感じもあるし、ゲッツはリフを崩しまくることをやめてしっかり吹いている。チックはイントロはアコースティックピアノで入るけどあのテーマの途中でフェンダーローズに代えている。デイリー時代のような無粋に飛ばすテンポではなくちゃんといい演奏ができるテンポ、ゲッツのソロは初演のようにちゃんと考えられたもので、勢いだけで埋めるようなものではない。さらに、長すぎない。久しぶりにまともな「La Fiesta」を聴いた気がする。ただ、ゲッツのソロのときもチックのソロのときも、リフに戻るところがなんだかスムーズにいかないのはなぜだろう。どうもゲッツがボーッとしてたからのように思える。エンディングもいつものゲッツのものとは違う。新鮮。

実はこのアルバムを買ったとき、珍しく1曲目から聴くのでなく、最初に「La Fiesta」から聴いたのでした。だから「Infant Eyes」の前に入っているチックの登場のあたりは聴いておらず、「La Fiesta」のイントロから「お?これじゃまるでチック。ラヴァーン好きじゃなかったけどけっこういい演奏もするんだ!」と驚いていたのです。

そのまま続く「O Grande Amor」では再びブルックマイヤーが参加。彼は出たり入ったりしていたのかもしれない。それとも演奏順と収録順を変えているのか。このアルバムはCD-Rの海賊盤だからそんな手間はかけていないと思うけど。最後は「Lush Life」、これもチックとの共演のテイクが有名。

このアルバム、とにかくゲッツの音色が良い。サブトーンがばっちり聴こえて、すべての曲をゲッツ色に変えているという感じ。

Transcription、いわゆる耳コピ

録音を聴いてソロを楽譜に起こす作業、耳コピ。耳コピという言い方は好きではないのでTranscriptionと言います。これまでけっこうやってきたなと思いきや、数えてみたら48曲分しかなかった。とはいえ、1コーラスだけとか1フレーズだけでなく、そのテイクのゲッツの音をすべて採譜するのでそれなりの量である。特に、私が集中してTranscribeしていたのはパソコンが普及する時代よりも前だったので、ゆっくり再生もできず、何度も戻しては音を1つずつ拾っていた。かなり苦労した。

ソロフレーズをコピーして練習するにしても、市販の楽譜を買ってきてそれを見て演奏するよりもTranscribeした方が絶対によい。訓練にもなるけど、やはり楽譜に書けないニュアンスも聴きとることになるので。

あとになってOmni Bookなどが発売されて、自分が採譜したものが載っていたときは「金で買えるならわざわざ苦労する必要なかったかw」とか思ったりもしたんだけど、自分で採譜したもの以外のコピー譜って演奏しないんですよね。所有して、それで終わり。だから、のちにネットで誰かが書いたコピー譜とかを見ても、それと自分の採譜した楽譜を照らし合わせることなんてしない。自分の方が間違ってるんだろうな、と思っても、だからなんですか、なのである。

ところで、基本的にどの演奏も発見があって勉強になったのだけど、その中でも予想以上に参考になったのが「But Beautiful /Stan Getz & Bill Evans」の「Stan's Blues」、「Sweet Rain」の「O Grande Amor」、そしてなんと「Captain Marvel」の「La Fiesta」(これを採譜する人は少ないと思うw)。「Stan's Blues」はブルースのお手本だし、「O Grande Amor」はツーファイブにとらわれず全体を俯瞰したフレージングに驚いたし、「La Fiesta」はこの曲のアプローチ方法がたくさんあることがよくわかった。演奏する機会はそんなにないと思うけど・・・