スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Stan Getz At Storyville

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レコードで2枚だったものをCD1枚にカップリング。ちなみにVol.2のジャケットはこちら。

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Vol.1は色が裏返し、Vol.2は(間違いで)左右が裏返し。

 

私は、下のデビッド・ストーン・マーチンによるイラストのジャケットよりネガフラッシュのほうが好きです。

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このライブは、数あるゲッツの50年代初期の録音の中でもダントツですごい。まさに湧き出る泉のごとくというべきフレーズ。CD前半のVol.1の方はテンポが速い曲が集められ、畳みかけるような「The Song Is You」や「Parker 51」などは圧巻。「Move」のドラムソロのあとの歓声はよく知られています。このアルバムを聴くと自分で演奏するのがイヤになるくらい。このとき、まだ24歳ですよ。まさに天才ですね。短いモチーフを少しずつ変化させながら繰り返すのも、この時代のゲッツの特徴。

しかし何といっても「Pennies From Heaven」が最高でしょう。ギターやピアノのソロはなく、ゲッツが最後まで吹き切る。キーはコンサートでDというあまりない選択、淡々としながらも実は割と速めのテンポ、この中からいくつかフレーズを拝借しました。符割、シンコペーションはすごく参考になります。このアルバムはジャズ史の奇跡と言えるかも。ここで聴かれる演奏のすごさはチャーリー・パーカーの録音なみに凄まじいものです。

 

後半のVol.2はわるくないけど、当初発売されたVol.1と比べるとやはり一旦お蔵入りになったのが納得できる演奏。バラードが2曲入っていますし。こう見てみると、Vol.1のプロデューサーの好みが面白いですね、バラードの録音も残っていたのにほとんど速い曲だけを先に発表したというところが。

冒頭「Hershey Bar」は名曲名演ながら、フェイドアウトすればいいのにわざわざテーマをぶつ切りして強引に拍手の音をつなげている。ウェス・モンゴメリーのハーフノートライブ並みの失敗編集です。演奏そのものはいいのに、この編集でダメトラックになってしまった。

「Signal」はジミー・レイニーの玄人向け作品。プレイは簡単そうで簡単ではありませんが、この時代の作曲としてはかなり秀逸で、いいフレーズがどんどん出てきます。

「Jumping With Symphony Sid」は後年の「Stan' s Blues」のメロディから始まる。この部分は誰が作曲したのかな。

それと、「Signal」「Budo」の別テイクや未発表曲「Wildwood」がいつの間にか発掘されていましたね。「Complete Roost Recordings」に収録されています。やっぱり発表済みテイクとは全然違っていて新鮮です。

 

アット・ストーリーヴィル1&2

アット・ストーリーヴィル1&2