ヴァーヴでLP4枚に分かれていたものがCD3枚組でコンプリートとして発売されたもの。これに限らず、ポリドールから離れてようやくファン待望の音源がCD化されているのはいいことです。
ところが、コンプリートといっているのにこれはコンプリートではない。「Blue N’ Boogie」が入っていないのですよ。CD裏の曲名には書いてあるけど実際には違う。これは、何かな、聴いたことあるけどとにかく違う曲です。さらに、「I Waited For You」と表記されている、ゲッツフィーチャーのバラードは本当は「A New Town Is A Blue Town」なんです。ちなみに、本物の「Blue N’ Boogie」は「Live in Chicago 1988」にボーナストラックとして収録されているので安心してください。なんとかCD化はされています。
以上のことをまとめると、
左:CD記載 右:正しい曲名
・「Blue N’ Boogie」 → ?「I Waited For You」ではないけど。
・「I Waited For You」 → 「A New Town Is A Blue Town」
ということ。
ところで、私は当初発売のLPレコードを持っていませんが、それとの違いとして、
・「Blue N’ Boogie」でなく「Bop N’ Boogie」というタイトルになっている。
・そもそも「A New Town Is A Blue Town」は収録されていない。当初発売LP4枚にも収録されていないので、このCDが初出らしい。
ということがあげられます。
このJATPにはキャノンボール・アダレーも参加していたけど、ゲッツとの共演はなし。あ、でも上記「Live in Chicago 1988」にはキャノンボールとの共演(別日程)の録音が収録されている。
ゲッツはJ.J.ジョンソンやディジー・ガレスピーとの共演。J.J.もガレスピーも、最初に共演盤が出たときは「意外な組み合わせ」とかいって評価されたみたいだけど、もう新鮮味が薄れて(特にガレスピー)、あまりエキサイトしない。
「All The Things You Are 」は、コールマン・ホーキンス、ドン・バイアスとの3テナー合戦。明らかにゲッツが格上で、4バースなんかも全然違う。ホーキンスは相変わらず空回りでさすがに悲しくなる。
CDでは3枚目にある「Kush」、これはまたつまらない曲を18分もよくやったなあという印象です。ゲッツ単独で聴くと8分の6拍子によるソロがばっちりはまっていてカッコいいんだけど、この盛り上がらない曲を各ソロイストが長々と演奏するからだんだんだれてくる。収録されなかった「Blue N’ Boogie」や、「Wheatleigh Hall」など、選曲も当日その場で考えたかのような「えーと、・・・じゃあ速いブルース、以上!」というものが、どうもメンバーやノーマン・グランツのやっつけ仕事を感じさせます。ゲッツによる「The Mooche」は珍しいけど、ソロはやっぱりブルース。
ところで、このコンサートはストックホルムでのもの。ゲッツは当然ながらアメリカからの移動でなく現地での合流。この1960年のダウンビート誌で人気投票テナーサックス部門で10年連続トップだったゲッツはついにコルトレーンに負けて2位になりました。ジャズの本場アメリカでは、いまジャズがどうなっているのか。最前線から退いてちょっと真剣勝負から離れていたゲッツは、翌年早々(1961年1月)アメリカに戻ることになります。
Complete Live in Stockholm. November 21 1960
- アーティスト: Jazz at the Philharmonic
- 出版社/メーカー: Ais
- 発売日: 2011/07/05
- メディア: CD
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