ゲッツの中でも硬派の最右翼に位置するアルバムの1つ。フランシス・ボーランによる、主義主張がない究極の純粋主義的音楽がなぜかゲッツとぴったりマッチ。
フリーの要素、メカニカルなリフ、エレキベースのハーモニクス、不安を誘うエレピ、いきなり5拍子への変化に加えて、曲によっては必然性がよくわからないツインドラムがスピーカーの両側から聴こえてくる。バリバリのロックビートもあり、とにかくおもしろいサウンド。キャッチ―さは皆無。非常に硬派。たまに登場するオーボエやバスクラ(だと思うんだけど)がまたかっこいい。ウェザーリポートの「Mr.Gone」のテンポを速くした感じの曲やそのままチャールス・ミンガスの曲とも言えそうなものまでそろっている。
ゲッツの音色も、ゲッツらしさを保持しながらもギリギリまで割れているような感じ。この頃はデュコフ(ラバーらしいですが)やセルマーのメタルを使っていたそうです。
オケのメンバーには、アート・ファーマーのほかに、ハーブ・ゲラーがアルト、フルート、オーボエなど、サヒブ・シハブがフルートやソプラノ、バリトン。そしてトロンボーンにアルバート・マンゲルスドルフの名前が。なんとなく納得してしまう。
普通に考えるとゲッツの音楽とはまったく無縁のサウンドなんだけど、これはこれでしっくりくるのが怖い。でもこれ、ボーランはゲッツのために書いたのではなく、もともとあった曲とアレンジをゲッツにぶつけただけだと思う。そうでないならかなりの鬼才だ。さらに、これらの曲・アレンジを自分のものにするゲッツはすごい。そして初めて見るジジ・カンピというプロデューサーも。
ただこのアルバム、ほかのソロイストが頑張っている分、ゲッツの出番が少ないんですよね~
- アーティスト: Stan Getz,Kenny Clarke,Francy Boland
- 出版社/メーカー: Polygram Records
- 発売日: 1998/04/21
- メディア: CD
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