スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Let There Be Love/Dee Bell、Eddie Duran、Stan Getz

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これはリーダーこそディー・ベルということになっていますが(それとも3者名義?)、はっきり言うと、ベルの歌はイマイチ。これはゲッツの歌伴を聴かせるための、ゲッツのためのアルバムではないでしょうか。とはいえ、ゲッツ不参加曲も3曲ありますが。

 

ジャケットだけ見るとギターとテナーの伴奏にしっとりと歌が乗る、という印象があるかもしれませんが、けっこうゴージャスなサウンドの中型コンボをバックにしたものもあります。とにかくゲッツがまったく遠慮せずに歌伴で吹きまくります。エディ・デュランをフィーチャーしたテイクはそれでもしっとりとしています。それにしても、コンコードさん、よくこのアルバムを製作してくれました。個人的にはコンコードは最も好きなレーベルの1つです。なにせ「The Dolphin」をレコーディングしてくれたのですから。

冒頭の「There's A Lull In My Life」からのアルバムへの導入、とにかくワクワクしてくるようなサウンド。この曲は1950年代にエラ・フィッツジェラルドの歌伴でも録音していますが、まったく違う曲想にご期待ください。そしてそのワクワク感、楽しさをもったままタイトル曲「Let There Be Love」に。タイトルがいいですね、こういうのはうまい日本語に訳せないですが(長々とした説明調になってしまう)。ゲッツのからみがまた絶妙。ゲッツの歌伴はやはり1980年代以降の音色がベスト。

それにしてもゲッツが吹きまくる。ほぼジャズスタンダードではないというところからも選曲にはからんでいないでしょうけど、実質リーダーと言いたい。ネームバリューからして、そうに違いない。「Give Me One More Chance」なんか、ほとんどゲッツだけ。ウィズ・ストリングスもので間奏のオケが入ることがありますが、歌はその程度の位置付けです。

残念なのは「Waltz For Debbie」(Debbyの間違い)がゲッツ不参加ということ。ここに参加していれば話題性もあったのに。

 ミシェル・ルグランの「You Must Believe In Spring」は、ゲッツとベルとデュランの3人のみでのテイク。ミディアムスローでリズムを刻むギターがいい感じ。ゲッツのソロがもっと長ければよかったけど。

 

繰り返しになりますが収録曲は基本的にジャズスタンダードではありません。でもスタンダードとかそいういうことは関係なくポップな歌曲が揃っており、楽しめる内容です。なぜCD化しないのかな。