昔は、ルーストでのゲッツのスタジオ録音は、「Chamber Music」とか当初のフォーマットでなく、コンプリートシリーズ1と2を買って、あとは「The Sound」を買えばすべて揃うというのが定番でしたが、いまはたった1つ「Complete Roost Recordings」というボックスものを買えば、ライブ盤も含めて揃ってしまうんですよね。
「Chamber Music」のジャケットはどこかのクラシック音楽家みたい。
でもボックスというものは聴かなくなるので(なぜでしょうね、心理的に「所有」することが目的化してしまうのかな)、できるだけ避けてCD1枚か2枚のもので持ちたいところです。とはいえ、このコンプリートにしか入っていないテイクもあるのだから困るのですが。
さて、こちら「Vol.1」は、雰囲気なら「Stan Getz Quartets」に負けないと思います。ゲッツの初期の深夜の暗闇からボソボソと聴こえてくるようなムードを求めるなら、「Stan Getz Quartets」よりこのルーストの録音の方が上。まずは「On The Alamo」おお、あの曲がこんな風に化けたか!という美しさ。「Yesterdays」は特に名演として認知されているテイク。ふつうはわりとミディアムテンポ以上で演奏される「You Go To My Head」もゆっくり演奏され、新しい魅力を見せてくれます(古い曲ですけど)。
また、初期のレパートリー「Sweeite Pie」「Hershey Bar」「Strike Up The Band」「'S Wonderful」などのスタジオ録音が聴けるのはルーストだけ。
「Navy Blue」のソロの隙間がいまいち意味不明で、交換なのか何なのかわからないけど、これはこれでこの時代のジャズっぽくて良い。そうそう、後半はホレス・シルバーも参加して、貴重な演奏を聴かせます。