スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Apasionado

このアルバムを「いまさらゲッツがまたフュージョンか」といった人がいたけど、本質を見ていないと思う。ゲッツのフュージョンというのはまさに単なる フュージョンではなく「ゲッツのフュージョン」というジャンル、スタイル。一般的な高音域で泣き叫ぶフュージョンサックスとはまったく違うし、ゲッツ独自 の味が出ていて、単なるフュージョンではないだけでなく4ビートのゲッツともまったく違う素晴らしい音楽となる。大体、電気を使った音楽が嫌いという人は、ジャズにだけ電気を認めずに他の音楽の電気を認めるという矛盾した原理主義傾向がある。

 

このアルバムはハーブ・アルパートによるプロデュース。ポップなコード進行とそれを支えるシンセ入りのリズムセクション、ドラムはポップなサウンドにぴったりのジェフ・ポーカロ、これだけ揃えたらあとはほとんどテーマメロディなんて書かずにゲッツに好きなように上に乗ってもらっただけ、という作り方と思える。ゲッツのために「場」だけをセッティングしたような。

1曲目のタイトル曲はゲッツがフュージョンサックスではなく自分のサウンドで優しくソロに入るところからして他のフュージョンとは一線を画している。そしてだんだん盛り上がっていく構成、さすがとしか言いようがない。 あの1990年のコンサートでもこのアルバムから数曲取り上げているわけですけど、「Coba」「 Amorous Cat」や「Lonely Lady」なんかより「Madrugada」「Midnight Ride」のほうがライブで盛り上がるのになあ、と思う、それほどどの曲もいいんです。あらかじめ書かれたメロディはほとんどないけど。

 

実はこのアルバムは私も初めて聴くまでは期待していなかったんですが、数あるゲッツのどのフュージョンアルバムとも違う感じで、今では「こんなにいいアルバムもめったにないんじゃないかな」というくらい好きです。

 

Apasionado: Originals (Dig)

Apasionado: Originals (Dig)