スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

「La Fiesta」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

チック・コリアの代表曲「La Fiesta」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは7テイクの録音を残しています。そのうちコリアとの録音が2つ、アルバート・デイリーとの録音が4つ、あと1つはジョアン・ブラッキーンです。

私はこの曲がかなり好きで、ジャズ聴き始めのころにゲッツによる初演版(コリアの「Return To Forever」よりも先ですよね、世界初録音か)を聴いてすごくハマりました。

このテイクが刷り込まれているので、メジャーパートの繰り返しでオクターブ上げるプレイはマストで、自分で演奏するときもそうします。ゲッツがこのとき以外はオクターブ上げしていないのがもどかしい。そもそも、ゲッツも初演が最高のプレイであって、他の演奏では投げやりだったり調子が悪かったり。当初未発表だった「Live At Montmartre」なんか、まさに未発表に納得。

そして、この曲はやはり作曲者のコリアが一番理解している。「Complete Live At Montreux 1972」の導入なんかさすがで、インテンポになるところまで絶妙な前奏があるわけです。

一方4つも録音を残しているデイリーは、とにかく曲を理解していない。そして、実はこれやりづらい曲であるというのもあるかもしれないけど、好き勝手に解体してごまかしているようなプレイが多い。このブログを通して私はデイリーがあまり好きではないと言ってきましたが、好きな曲をデタラメに演奏されたことが大きな原因なのかもしれません。残念ながらデイリー以外のリズム隊も曲の理解が浅く、ゲッツが好んで演奏した割には初演にはるかに及ばないテイクを量産するだけとなってしまいました。

それにしてもこの「La Fiesta」、コリアも何度か演奏しているものの多作家でありすぐに新たな代表曲「Spain」を作ったりフュージョンで電気サウンドを展開したりということで積極的に演奏していたイメージがないんですけど、ゲッツはすごく気に入っていて70年代の主要レパートリーにしていたんですよね。なので私にとってはかなりおなじみでありかつ特別な曲なんですけど、もしかしたら人によっては「チック・コリアが1972年に発表した曲の1つ」程度の認識しかないのかも。それにしてもゲッツはあくまで自分のバンドにいたころのコリアの曲が好きなのであって、バンドから離れた後の曲「Spain」は演奏してませんね。残念。