スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

「Falling In Love」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

ヴィクター・フェルドマンによる名バラード「Falling In Love」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは3テイクの録音を残しています。その他、ネットに上がっている動画もありますが。

ヴィクター・フェルドマンと言えばジャズファンには「Seven Steps To Heaven」が一番のおなじみですが、名手でありほかにもたくさんの曲を書いています。1960年代前半のキャノンボール・アダレーのバンドに在籍中のものが有名かも。

で、「Falling In Love」、とにかくこの曲は美しい。まさにタイトルのとおりの曲。一人でしんみりと聴く曲です(ですので、ネット動画で、屋外の昼間のジャズフェス演奏を見ると興ざめです)。ですがコードが難しい。なんとか演奏したことがありますが、これはピアニストも大変です。一応売られている楽譜がありますが、ゲッツの演奏とはキーが違います。

当初は幻の名盤扱いされた「Voyage」が初演・・・と思いきや、実は「Tribute To Zoot Sims」の方が古い録音です。

そして、おそらくファンの耳に一番印象に残っているのが「Serenity」での演奏。

マーシーのこの録音は音がすべて「輝いていて」、不思議な感じなのですが、ケニー・バロンのピアノに続いてゲッツが入ってきた瞬間空気が変わるんですね。最低音でスラップタンギングする例のプレイが、曲のタイトルから伝わる切なさを表現しているようで、心に残ります。私としては「Voyage」がしばらくの間「幻の名盤」となったのは、この曲のスタジオ録音が収録されているということで需要がぐっと高まったからなのではないかと思っています。そうでなければ、確かに1986年のスタジオ録音はほかにないと言っても、マイナーレーベルだから販売量が少なかったと言っても、そこまで「幻」になったかどうか。もっともCD盤には当時はレアすぎたインスト版「Just Friends」が追加収録されていたということがありますが。