スタン・ゲッツを聴く

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チック・コリアとゲッツ

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2021年2月9日、チック・コリアが亡くなりました。

ゲッツはサイドマンにはほぼ無頓着だったそうですが、チック・コリアやトニー・ウイリアムス、スタンリー・クラークとの1972年のバンドは非常に気に入っていて遺留したとか。実際には1953年のジミー・レイニー脱退のときも遺留しており、そんなにサイドマンをどうでもいいと思っていたわけではないようですが、それでもチックに関してはかなり気に入っていたようです。

1973年頃からチックの代わりにアルバート・デイリーがピアニストとして加入しますが、デイリーの時代に頻繁にチックの曲「La Fiesta」「Times Lie」を演奏していました。1973年のライブ録音では「Litha」「500Miles High」を、さらに1974年のベルリンライブでは「Matrix」も演奏しています。デイリーはけっこうチックの曲をやらされていますね。その他、1975年の「My Foolish Heart: Live At The Left Bank」や1977年の「Live At Montmartre」など、ピアニストが代わってもチックの曲は演奏されていきました。相当チックの音楽を好きだったと推測できます。

チックとの共演は1967年の「Sweet Rain」が最初のようですが、このアルバムはとにかく素晴らしい。コンピングがすでに普通のピアニストではないと思わせます。ジャズ批評には、1968年の日本公演のときお忍びでゲッツとチックがダグに来て演奏した話が載っています。日野皓正クインテットが出演していたそうで、村岡建のサックスを借りて吹きまくったとのこと。ただ、村岡氏としては微妙だったでしょうね、気持ちは分かる気がします。

 

ゲッツは若手の発掘に定評があります。古くはホレス・シルバー、ほかにもゲイリー・バートン、スティーブ・キューン、ジョアン・ブラッキーン、アンディ・ラヴァーンなどその後花開く若手を積極的に取り立てていったわけですが、本人は単にギャラが安いから使っただけというのが真相のようです。それでもゲッツのおかげで多くの偉大なミュージシャンが世に出たわけで、ある意味ジャズメッセンジャーズのような意義をもっていたのがゲッツのバンドだったと思います。