スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

The Soft Swing

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最初に聴いたときはけっこうゆったりしているアルバムという印象であまり印象に残らなかったけど、だんだん好きになっていったアルバム。冒頭の「All The Things You Are」があまりにもリラックスしているので、そのすごさに気づかないかもしれない。採譜してみるとすごいことがよくわかる。

続く「Pocono Mac」がまたミディアムスローだからなんだかリラックスしすぎているアルバムだなあと思ってしまうんだけど、これもいい演奏。途中で転調してるのが地味にかっこいい。

「Down Beat」と「Bye Bye Blues」が快調に飛ばす曲で、これを吹き込んだ1957年はヴァーヴで数々の名盤を録音しているのだから、悪いわけがない。たたみかけるようなフレーズがこの時期のゲッツらしさ。

「To The Ends Of The Earth」、なぜ「End」が複数形なんだろうと思うけど、それはさておき、作曲クレジットが「Sherman/Sherman」なんですよ。え?あのシャーマン兄弟なの?(ご存知、ディズニー映画の作曲で有名ですね)と思いきや、調べてみるとまったく違いました。びっくりした。

 

ところで、ゲッツ作曲が2曲収録されているということが日本語ライナーにもジャズ批評にも書かれているんだけど、これを書いた評論家のお二人は全然しっかり聴いてないんだなと思った。「Pocono Mac」と「Down Beat」。どちらもテーマなしのブルースで、「遅いブルース」と「速いブルース」というだけ(素粒子物理学の「弱い力」と「強い力」みたい)。演奏はいいけど、すべてアドリブ。作曲というものではないことに気づかなかったのかな。「アドリブも作曲だ」と反論するなら、ゲッツの残している録音がすべて作曲ということになるから、やっぱりわざわざ解説に記載するものではないということになるよ。

ザ・ソフト・スウィング

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