スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

ボブ・ブルックマイヤーとの共演

ゲッツのボブ・ブルックマイヤーとの共演については、大きく分けて3つの時期があります。

まず1953~1954年。アルバムでいうと「Interpretations By The Stan Getz Quintet #3」「More West Coast Jazz」や「Live At The Hi-Hat 1953 Vol.1 」「Live At The Hi-Hat 1953 Vol.2」の頃。ゲッツもまだクールで、数年前のプレイに戻ったかのように演奏しています。「Interpretations By The Stan Getz Quintet #3」はあまりパッとしないブルックマイヤーのオリジナル曲のせいで、いいアルバムなのに地味な印象です。同時期なのに「」「Stan Getz At The Shrine」はエモーショナル。それと1954年11月9日の記事でも言った通り「Stan Getz & Cool Sounds」での録音ですね。

続いては1960年代前半。1961年「Stan Getz Bob Brookmeyer Recorded Fall 1961」と1964年「Bob Brookmeyer & Friends」ちょっと間が空きますが、欧州から帰ってきたゲッツとの再共演です。

そして最後は1977~1978年。ゲッツのレギュラーバンドの中でもイマイチな時代、そうアンディ・ラヴァーンがいてラテンパーカッションが常時いたあの時期です。「Jazzbühne Berlin '78 」「Utopia」「Academy Of Jazz」などです。この時期は「Another World」「Poetry In Jazz」などブルックマイヤーなしで同じような音楽を録音していますが、ライブではフロントを増強したんですね。その方が楽しめます。

ブルックマイヤーはいろいろ楽曲を提供してくれるのがおもしろい。「Stan Getz At The Shrine」での曲以外はどれもイマイチだったりはするんだけど、それでも彼のオリジナリティが感じられて聴いていて心地よいです。プレイ自体はモコモコしていて、また、たま~にひどくかっこ悪いフレーズを吹く。聴いていてこちらの方が共感性羞恥。モコモコするのはバルブトロンボーンの特徴なのかな。

ルースト録音について

ゲッツのルースト録音は、大きく分けると「1.スタジオ録音」「2.メトロノーム音源」「3.ストーリーヴィルのライブ音源」「4.ジョニー・スミスのリーダーセッション」の4つに分かれます。

当初10インチLPなどに散逸して発表されていたものが、(多分)1980年代にセッション順にまとめて改めて発表されました。それが「The Complete Roost Sessions Vol.1」「The Complete Roost Sessions Vol.2」です。ただしこれはスタジオ録音限定、ゲッツのリーダーセッション限定のなんちゃってコンプリート。さらに「The Sound」に収録されているストックホルム録音のメトロノーム音源は権利関係が違うからということで、除外。「The Sound」のジャケット写真を使っているのに・・・とはいえ、「The Sound」はアルバム構成もいいからコンプリートに音源保有するだけでなく重複してもいいからアルバム所有すべきではあります。

それと、LP2枚に分かれていた「Stan Getz At Storyville」が1CDで発売されました。しかし未発表3テイクはここには収録されていません。「The Sound」のCD化はけっこう後でしたが、実現。ジョニー・スミスの「Moonlight In Vermont」も未発表別テイクを含めてCD化し、これですべて揃ったかと思いきや、カウント・ベイシー楽団との共演3テイクがもれているんですね。参加曲は「Municipal Auditorium Topeka Kansas February 55」に似ていますがよく見ると違うし、これは1955年、ルースト録音は1954年です。

で、ながながとお話してきましたが、結局いまは「Complete Roost Recordings」を買えばルースト音源はすべて入手できます。

「ゲッツ参加曲以外も聴いてみたい」という意見もありそうですが、はっきり言って「Moonlight In Vermont」はアルバム単位で聴いてもつまらない(怒られそうですが・・・)し、「Municipal Auditorium Topeka Kansas February 55」も同様です。わざわざゲッツ不参加テイクをも求めて買う必要ないかなと思います。昔は「Complete Roost Recordings」などなかったので買ってしまっていますけど。

とはいえ、メトロノーム音源である「The Sound」のB面はここには収録されていません。ですので、もっとも効率よく集めるには「Complete Roost Recordings」と「The Sound」を購入する必要があります。

 

欧州時代

1955年に「Stan Getz In Stockholm」を録音していますが、ゲッツの本格的な北欧時代はは1958年4月ころから。妻のモニカの出産のためにモニカの祖国スウェーデンに移り住みます。どれだけ長くいるつもりだったのかはわかりません。

スウェーデン時代には欧州ツアーを積極的にこなし、たくさん音源を残しています。北欧時代というよりは欧州時代というべきですね。スタジオ録音では「Nothing But The Blues / Herb Ellis」にボーナストラックとして収録されている1958年の「Les Tricheurs」があり、おそらく最後はドイツで1960年3月に録音された「Cool Velvet」です。この1960年3月という月を覚えておいてください。

そのほかにも、現地録音をヴァーヴで発表したスウェーデン録音「Imported From Europe」(もとのセッションは「In Sweden1958-60」収録)、それからデンマーク録音の「Stan Getz At Large」(もとのセッションは「Stan Getz At Large Plus Vol.1,2」収録)。

ライブではフランス録音(と詳細不明録音の)「With European Friends」「'Round Midnight In Paris」「Live In Paris 1959」、デンマーク録音「Stan Getz In Denmark」、ノルウェーデンマーク録音を集めた「Scandinavian Days」、ポーランド録音の「Stan Getz In Warsaw」「Polish Radio Jazz Archives 01」。さらにありますよ、オランダ、ドイツ&スイス録音「Live In Amsterdam, Dusseldorf & Zurich 1960」、スウェーデンデンマーク録音「Without A Song」、スウェーデン録音「Stan Getz At Nalen With Bengt Hallberg」「At Nalen-Live In The Swedish Harlem」がありますし、スイス録音「Swiss Radio Days Jazz Series Vol.29」も。その他、「Sweetie Pie」や「The Golden Years, Vol. 1 1952-1958」にもその頃の録音が。後者は例のドナルド・バードとの共演がドイツ録音ですね。

そして1960年3月28日ライブ「LIve In Düsseldorf 1960」、これはJATP興行の一環でしたが、ゲッツは欧州で合流したわけですね。このとき、ジョン・コルトレーンを擁するマイルス・デイヴィスクインテットも参加しました。そして、ゲッツとコルトレーンの共演が実現するわけです。その模様はこちら「Duesseldorf 1960 /John Coltrane」に収録されています。

ゲッツがまったくコルトレーンの音楽を聴いていなかったわけではないでしょうけど、直接の共演は大いなる刺激を受けたようで、ゲッツはアメリカに戻らなければならないと強く思うようになります。ダウンビート誌では10年間、メトロノーム誌では11年間首位をとっていたテナーサックス部門でコルトレーンについに抜かれたことも影響したようです。

1960年11月、「Complete Live In Stockholm. November 21 1960 /Jazz At The Philharmonic」に欧州からの合流で参加し、翌1961年1月19日に帰米するのでした。