スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。めったに更新しませんが生きてます。

Another World

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フュージョンタッチの曲とメインストリーム系が混在しているアルバム。レコードでは2枚組なんだけど、コロンビアの経営陣はこれが売れると判断したのだろうか?評伝には「電子楽器を使わせられて、ゲッツはコロンビアに不満を持っていた」と書いてあるけど、このアルバム、プロデューサーはゲッツ自身だし、そもそも本人のレギュラーバンドのメンバーでしょ。本人があとから思い出してテキトーなことを言ってるだけかと。同じく評伝にはゲッツが電子楽器を楽しんでいたことがわかるコメントものっているし。

 

「Pretty City」はライブ盤ではあまりいいと思えなかったけど、スタジオ録音で軽くリヴァーヴをかけるとけっこういい感じに仕上がる。もっとも、アンディ・ラヴァーンのシンセはまったくイカしていない。私は70年代のフュージョンやシンセも大好きだけど、ラヴァーンのシンセはいいと思ったことがない。ピュンピュン、ヒュンヒュン言っているこの邪魔な音はなんとかならないのか。伝記では「鳥の鳴き声」と表現されている。

「Keep Dreaming」はベースのスラップによる曲で、コード進行がこれまたイカさない。続く「Sabrina」も4ビートながらコード進行がダメ。こういう曲でも難なくいつものプレイができるゲッツはさすがだけど、コード進行に無理があると聴いていて心地よくない。こういう曲は、演奏する側はすごくおもしろいと感じるけど、リスナーにはなかなか届かないと思う。

さて、レコードではB面にあたる5曲目は、ゲッツのキワモノ度としてはトップ3に入る「Another world」。エコプレックスという機械による効果で、深いエコーをかけて多重録音ばりにゲッツが断片的なフレーズを吹くというもの。こんなのを収録してレコード2枚組のアルバムを作るんだから、ホント何を考えているかわからない。いえいえ、一応ちょっとほめてますよ。

これが、1分くらいならおもしろいと思えるんだけどだんだん飽きてくる。それなのに5分以上もあるというすごさ。

レコードC面はまたフュージョンタッチで始まる。C面D面、5曲のうち3曲は普通のジャズ。こういうのが来るとちょっと一息つけるという人もいるかもしれない。冒頭からガンガン飛ばしているアルバムなので。もっともラストの曲「Club 7 And Other Wild Places」も同様に飛ばすナンバーなんだけど。

個人的には「Willow Weep For Me」をAABA形式にしちゃっているのが気にいらない。

 

Another World

Another World