発掘音源で、1959年のストックホルム、ナレンという店でのライブということしかわからない。最初聴いたときは、ゲッツの短いソロとベンクト・ハルベルクの長~いソロの対比で、ゲッツ手抜きライブの録音かと思ってしまった。それほどハルベルクのソロは長い。「All God´s Chillun Got Rhythm」と「Ack Värmeland Du Sköna」がそう。前者なんてゲッツの倍くらいの長さ。もしかしてゲッツが奥に引っ込んで出てこなくなったからしょうがなくソロを続けていたのか。それならやはり手抜きなのだろう。短いソロ自体は非常にエキサイティングでいい演奏なのだけど。
バラードなんかは3分にも満たずに終わってしまう、これも手抜きなのかもしれない。ところが4曲目「Lady Bird」になると、ゲッツが俄然やる気を出して(?)延々と7分以上のソロをとる。このアンバランスはいったい何なのだろう。不思議なアルバムです。
スタンダード「All The Things You Are」もミディアムテンポでいいプレイ。最初のテーマでは全編4ビートで、ラストテーマ、ブリッジの直前にすごい巻き舌で「ルルルルルルル、ルンバ!」という声が入り、よく聴かれるブリッジがラテンというヴァージョンになる。この声、ゲッツの声っぽいんだけど、この巻き舌はいったい・・・聴き間違いかな。
ディスク2に入ると、また「All God´s Chillun Got Rhythm」が入っているんだけど、こちらはほとんどハルベルクに振らず、ゲッツが延々と吹きまくる。同日の録音なのかな、前の演奏を反省したとか?「Autumn Leaves」はまだバラードとしての演奏。この録音が1959年なわけですが、余談ながら前年にはマイルス・デイヴィスのやはりスローなヴァージョンが録音されています。1959年のビル・エヴァンスの録音以降、「枯葉と言えばアップテンポ」というのが定着していくのだと思います。
そして「When The Sun Comes Out」における、ピアノレスでバラードを1コーラスだけやるというのは意味不明。と、ここまで聴いてなんとなく思ったのは、もしかしたらゲッツはハルベルクの力量を見て「彼にはあまり任せられない」と思ったのかも。最初の2曲のロングソロでわかってしまったのでバラードでもソロをさせなかったとか・・・どうでしょう。
ラストの「Somebody Stole My Gal」はあまり聴かない曲で、実際テーマもコード進行もぱっとしない。テーマのあとはけっこう長めにピアノのソロ。これはハルベルクがやりたいと言ったのをゲッツがあまり気乗りしなかった、と見ましたが。
Stan Getz at Nalen With Bengt Hallberg
- アーティスト: Stan Getz
- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 2013/02/26
- メディア: CD
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