ボブ・ブルックマイヤーとの録音は、どれもゲッツの音色が良く録れている気がします。このアルバムもユニゾンのメロディからサブトーンがばっちり聴きとれます。テナーとトロンボーンというのは音域からして相性がよく、ゴリゴリハードなジョージ・アダムスのアルバムなどもありますが、ゲッツは想像通りに優しいサウンドを作っています。
1曲目は3拍子のブルックマイヤーのオリジナル。タイトル「Minuet Circa '61」とはどういう意味か。ネットで調べたらイタリア語らしい。ロイ・ヘインズは3拍子でよくやるいつものワンパターン3連符を繰り返してうんざりだけど、ゲッツはライブ盤のときと違いやりづらそうでもなく飄々とソロを展開。
「Who Could Care」はタイトルも曲想も歌曲っぽいのだけど、ブルックマイヤーのオリジナル。ここではゲッツのサブトーンがとにかく素晴らしい。バラード演奏の極致です。レコードではA面のバラードがこれで、B面のバラードがスタンダードの「A Nightingale Sang In Berkeley Square」だったと思われる。後者は、うーん、やはりブルックマイヤーによるパートがなければもっとよかったのに、と思えるくらい2人の演奏の出来具合が対照的。
このほかのブルックマイヤーの曲も佳曲。彼は「Open Country」などけっこう名曲を書きますよね。名曲ゆえか、ゲッツのソロも非常にのびのびとしていて、ラストの「Love Jumped Out」のフレーズ、ストップタイムへの対応など、聴いていていい気持ちになります。
最後まで不自然にエキサイトすることなくリラックスしたアルバム内容。これを良いと思うかつまらないと思うか。
ところでこのアルバム、1曲目以外はロイ・ヘインズのドラムが気にならない。珍しい。ブラシ多様でソフトな感じだからか。
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- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2010/01/27
- メディア: CD
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