この時代のボブ・ブルックマイヤーとのバンドは、ゲッツのキャリアの中でもっともつまらない時期だと思う。なぜか。50年代の北欧でダラダラやっていたときはレパートリーに魅力はなくても悪くはなかった。ブルックマイヤーが入っていなかったりパーカッションがいなかったりとヴァリエーションはあるけど、要するにアンディ・ラヴァーン時代、というべきかもしれない。ラヴァーンの作曲がダメなのだ。よくわからない、印象に残る残らない以前にとにかく駄曲。ゲッツのいつもの「オレはいくつか決めたから、あとはお前たちがオリジナルでもなんでもいいから曲を用意しろ。」というのが完全に失敗した時代。
とはいえ、マニアはそんなこと気にしない。ゲッツのソロがよければそれでまずは及第点。このアルバムも、よくもこんな曲でしっかりしたソロができるものだ、とゲッツを改めて評価したい。
それに対してブルックマイヤーは、おいどうした?というほどダサいソロ。確かに50年代の共演からそういう瞬間も聴かれたんだけど、ここでの彼はたまにいる「ジャズを知らないけどアドリブだけはできるものだから、たまたま参加したジャズバンドの中で自分が浮いていることがわからないブラスバンド出身の金管奏者」のようなフレーズをしっかりと演奏する。
うーん、アルバム自体にほめるところがあまりないなあ。