スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Academy Of Jazz

f:id:torinko:20201103175044j:plain

 この時代のボブ・ブルックマイヤーとのバンドは、ゲッツのキャリアの中でもっともつまらない時期だと思う。なぜか。50年代の北欧でダラダラやっていたときはレパートリーに魅力はなくても悪くはなかった。それに対して、この時代は、ブルックマイヤーが入っていなかったりパーカッションがいなかったりとヴァリエーションはあるけど、要するにアンディ・ラヴァーン時代、というべきかもしれない、つまりラヴァーンの作曲がダメなのだ。よくわからない、ジャズ批評では「印象に残らない」という意見があったが、いやいや印象に残る残らない以前にとにかく駄曲。ゲッツのいつもの「オレはいくつか決めたから、あとはお前たちがオリジナルでもなんでもいいから曲を用意しろ。」というのが完全に失敗した時代(このレパートリー決定方法は、完全に私の想像ですが、ライブ音源をたくさん聴いているとそんな感じがしますよね)。

 

とはいえ、マニアはそんなこと気にしない。ゲッツのソロがよければそれでまずは及第点。このアルバムも、よくもこんな曲でしっかりしたソロができるものだ、とゲッツを改めて評価したい。

それに対してブルックマイヤーは、おいどうした?というほどダサいソロ。確かに50年代の共演からそういう瞬間も聴かれたんだけど、ここでの彼はたまに見られる「ジャズを知らないけどアドリブだけはできるものだから、たまたま参加したジャズバンドの中で自分が浮いていることがわからないブラスバンド出身の金管奏者」のようなフレーズをしっかりと演奏する。

 

うーん、アルバム自体にほめるところがあまりないなあ。あ、ジャケットのゲッツが着ているシャツは、1972年モントルージャズフェスティバルのときに着ていたものですね。どうでもいいことですが、これ、白色と紺色が逆になっているヴァージョンもあり、YouTubeにそれを着ている動画があがっています。