スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

A Life in Jazz

 

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ゲッツの評伝。ジャズマンの評伝のどれもがそうであるように、恐ろしく長い。特にこの本は、ゲッツに関わった人に関する記述(要するに本の趣旨からすれば寄り道)が多すぎる気がする。どんどん派生していくのです。たとえばモニカについても、モニカの両親の話になり、モニカの祖父のチャーター機パイロットの話になり、ヒトラーとの関りの話になり、ゲッツとは何の関係もない、ここがなくてもまったく問題ないという感じ。著者はかなりインタビューや情報収集をしてきて、余すところなく文字にしておきたかったのでしょうけど、とにかくそういうのが多い。さすがにこの辺りは読み飛ばしましたw

マニアであれば「こういう録音をした」「この年、○○とセッションして録音が残っている」というのを読んで「ああ、あれね。持っている」と思うのが楽しいでしょう。

で、書かれている演奏の評価については異論がたくさんあります。あれが高評価だったりあれが低評価だったり。また、ゲッツの薬物依存、アルコール中毒とDVにはうんざりするでしょう。私はジャズ聴き始めの頃、チャーリー・パーカーの奇行やチェット・ベイカーの薬物乱用に我慢できず、その音楽までも嫌いになりそうになったこともありますが、今は「それはそれ、これはこれ」と割り切れるようになりました。そうでなかったらこの本を読んで憂鬱になっていたかも。

 

内容とは関係ないけど、村上春樹の翻訳は「さよならバードランド」でうんざりしているから、やっぱり嫌だった。例えば、

・やはり「彼」「彼ら」を多用するので、訳文が日本語としてこなれていない。これは言語の性質の違いなのだろうけど、意訳してほしかった。

・村上氏はジャズファンなのに、慣用的な表示より英語本来の表示にこだわっているのかな?それでも、マイルスを「マイルズ」、チェットを「チェト」と記載するようなのはいただけない。

・ゲッツが過去を振り返って発言しているときの一人称が「僕」。もう年を重ねたベテランなんだし、ロックミュージシャンではないのだから「私」であるべきだろう。

・それなのにマイルスの発言が「私は」となっているのは、ジャズファンとしては気に入らない。ジャズファンなら「オレは」と、マイルスを不遜に表現すべきでしょw

 

と、翻訳への不満はありますが、マニアなら絶対に読むべき本です。

 

 

スタン・ゲッツ :音楽を生きる

スタン・ゲッツ :音楽を生きる

 

 

 

 

OMNI BOOK

 

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ゲッツのオムニブック。全54曲収録で、その内容はアマゾンのサイトからも確認できます。自力でコピーをした私にとっては特に不要ですし「これを選ぶかなあ?」という選曲も多いです。

 

音源の収録アルバムにはオリジナルアルバムでなくベスト盤や編集盤のタイトルがずらりと並んでいて、ジャズファンの気持ちを分かっていない人が作ったのかな、という印象です。

 

それでもマニアは購入すべきですね。私も買ってはみたものの結局一度もこれに沿って吹いてはいません。あ、当然ながらB♭版だけでなくCやE♭もありますよ。

 

 

Stan Getz Omnibook: for B-Flat Instruments: Transcribed Exactly from His Recorded Solos

Stan Getz Omnibook: for B-Flat Instruments: Transcribed Exactly from His Recorded Solos

 

 

Getz at the Gate

ゲッツ・アット・ザ・ゲイト

1961年の発掘音源。いつもはうるさいロイ・ヘインズが割とまともに叩いていて、ヘインズファンには物足りないでしょうけど私は安堵しています。

 

内容はというと、すばらしい好演。ただ、やたらと高速の曲が多いという印象です。ここまで飛ばす曲ばかりで、いったいどういう心境だったのかと思うくらい。数えてみると5曲程度なんだけど、中途半端なミディアムファーストでなくとにかくファーストなので、印象が強いのかも。

 

「Where do you go?」は、こんな曲だったっけ?ほかのアルバムに収録されているものと違う気がしますが、現時点で聴きなおしていません。すみません。

 

大切なことを1つ。「Impressions」が収録されているので「ゲッツがあの曲を?」と思って期待していましたが、ピアノトリオによる演奏でした。ただでさえこの頃のスティーブ・キューンのプレイは好きになれないのに、この曲での演奏はさらにげんなりするフレーズだらけなのが残念。

 

ゲッツ・アット・ザ・ゲイト

ゲッツ・アット・ザ・ゲイト