スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Nothing But The Blues / Herb Ellis

Nothing But The Blues

タイトルのとおりブルース漬けのアルバム。ロイ・エルドリッジは古くさいスタイルでエリスのブルースに合うんだけど、ゲッツはどうなんだろう。1曲目のバックリフ、ゲッツとは思えないプレイで「あんた、誰?」と思ってしまう。オーソドックスなジャズなのにある意味トンデモゲッツにノミネートされるかもしれない。

と思いきや、2曲目以降は、ゲッツは普通。エルドリッジと合わないことは変わらないけど。

不思議なのは、ずっとブルースで来るから「Soft winds」もブルースでやるのかなあと思っていたらしっかり16小節で演奏していること。もともと16小節の曲だけど、ジャズメッセンジャーズはブルースにアレンジしているから当然そっちで演奏すると思っていたのにね。

ちなみにCDで1曲追加になっているバージョンもある。エルドリッジに代わってディジー・ガレスピー、そしてコールマン・ホーキンスが参加しているテイクです。

 

Nothing But The Blues

Nothing But The Blues

 

Carryin on' /Michele Hendricks

Carryin on

ゲッツが2曲参加している。それがどちらも素晴らしい。「Old devil moon」は曲の最初からどんどん歌にからみ、ソロではストックフレーズを交えながら盛り上げる。

「Prelude to a kiss」は静かな曲想を包み込むような演奏が印象的。

それにしてもこの人、ジョン・ヘンドリックスの娘さんということなんだけど、ジョン・ヘンドリックス自体よく知らないんですよ。レーベルもマイナーみたいだし、よくゲッツを呼べたなあと思う。87年はゲッツがどんな仕事でも引き受けていた頃だからわからないこともないんだけど。

 

Carryin on

Carryin on

 

Apasionado

このアルバムを「いまさらゲッツがまたフュージョンか」といった人がいたけど、本質を見ていないと思う。ゲッツのフュージョンというのはまさに単なる フュージョンではなく「ゲッツのフュージョン」というジャンル、スタイル。一般的な高音域で泣き叫ぶフュージョンサックスとはまったく違うし、ゲッツ独自 の味が出ていて、単なるフュージョンではないだけでなく4ビートのゲッツともまったく違う素晴らしい音楽となる。大体、電気を使った音楽が嫌いという人は、ジャズにだけ電気を認めずに他の音楽の電気を認めるという矛盾した原理主義傾向がある。

 

このアルバムはハーブ・アルパートによるプロデュース。ポップなコード進行とそれを支えるシンセ入りのリズムセクション、ドラムはポップなサウンドにぴったりのジェフ・ポーカロ、これだけ揃えたらあとはほとんどテーマメロディなんて書かずにゲッツに好きなように上に乗ってもらっただけ、という作り方と思える。ゲッツのために「場」だけをセッティングしたような。

1曲目のタイトル曲はゲッツがフュージョンサックスではなく自分のサウンドで優しくソロに入るところからして他のフュージョンとは一線を画している。そしてだんだん盛り上がっていく構成、さすがとしか言いようがない。 あの1990年のコンサートでもこのアルバムから数曲取り上げているわけですけど、「Coba」「 Amorous Cat」や「Lonely Lady」なんかより「Madrugada」「Midnight Ride」のほうがライブで盛り上がるのになあ、と思う、それほどどの曲もいいんです。あらかじめ書かれたメロディはほとんどないけど。

 

実はこのアルバムは私も初めて聴くまでは期待していなかったんですが、数あるゲッツのどのフュージョンアルバムとも違う感じで、今では「こんなにいいアルバムもめったにないんじゃないかな」というくらい好きです。

 

Apasionado: Originals (Dig)

Apasionado: Originals (Dig)