コロンビアとの契約は1972年~1979年かな。コロンビアでのゲッツの作品と言えば、リーダーアルバムとして
「Captain Marvel」(1972年)
「Another World 」(1977年)
「Forest Eyes」(1979年)
「The Best Of Two Worlds」(1975年)
「The Master」(1975年)
「Children Of The World」(1978年)
「The Peacocks」(1975年)
があります。この中では特に「The Master」が傑作ですが、他のアルバムもすばらしい。
リーダー以外での録音は、ゲッツ自身がコロンビアと契約する前のものとして1960年代の
「Jazz/ Tony Bennett」(これはコンピアルバムだけど1964年録音収録)
「Bob Brookmeyer & Friends」(1964年)
があり、コロンビアと契約してからは
「This Is My Love /Kimiko Kasai」(1975年)
「Montreux Summit Vol.1」(1977年)
「Montreux Summit Vol. 2」(1977年)
「Havana Jam 1」(1979年)
「Havana Jam 2」(1979年)
あと、もともとはRCAなのかな?
「40th Anniversary Carnegie Hall Concert/Woody Herman」(1976年)
があります。おっと今はコロンビアから発売されている「The Be Bop Era」もありました。1950年の録音が収録されています。
さて、70年代のリーダー作のプロデューサーは、オランダ録音の「Forest Eyes」以外ゲッツ本人ということになっています。ところがゲッツ自身は「コロンビアとの契約はイヤだった。ジョアン・ジルベルトとの二番煎じをやらされたり電気楽器を使わせられたりして」と言っていたそうです。仮にその発言が事実だとしても本人がやりたくてやってんたんじゃないかと思いますが。
それを受けてか、伝記では著者が「つまらないラロ・シフリンのアレンジ」がとか言ってるんですけど、「Children Of The World」のことですけどね、何言ってるのかな、いいアルバムですよ。ジャズファンの中には「アコースティック原理主義」みたいな人もいるのですが、フュージョンもアコースティックなジャズもどれもすばらしい。電気を使っているだけで即駄作扱いするのは間違いだと思いますね。著者は、コロンビア時代のアコースティック作品だということで「The Peacocks」をいい作品だと言っていますが、内容的には他に比べてそんなにいいアルバムではないと思います。いえ、これも好きなんですけどね、他のコロンビアのアルバムに比べると「The Peacocks」は順位が低くなります。それほど他のアルバムは良い。
コロンビア時代はチック・コリアを擁したフュージョン初期の「Captain Marvel」から、それこそジョアン・ジルベルトとの再共演、完全アコースティック、フュージョン、シンセサイザーが飛び交うコンボ作品と多彩な作品を作りました。この時期を通じてゲッツの音色がどんどん変わっていくのもおもしろい。
ゲッツの「コロンビアの契約はイヤだった」発言はこのあとコンコードと契約したときのものらしいです。確かに、コンコード以降メインストリーム回帰をしたと言える内容になりました。これは評論家小川隆夫氏が言うように「いい気になっていたが初心に帰った」ためなのか、それとも単にウィントン・マルサリス等の出現で主流がアコースティックジャズに戻ったからなのか。