(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)
スタンダード曲「You Stepped Out Of A Dream」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは4テイクの録音を残しています。これも、「Yesterdays」のように、初期と晩年でアレンジが変わった曲です。とはいえ、初期と言っても1950年に「Stan Getz Quartets」で録音してから、1978年の「Live In Stockholm 1978」まで録音していません。1950年はやはりあのクールなアルバム、ボソボソとした暗闇の中から聴こえてくるようなテイクです。それが、1978年のライブは8ビートのかっこいい、ちょっとフュージョンっぽさもあるアレンジ。ちなみにここでゲッツが8ビートを意識しながらカウントするのがおもしろい。
そして、あとは1991年「People Time: The Complete Recording」で2テイク録音しています。これもピアノとのデュオながら8ビートを意識したノリです。
この曲は古いスタンダードながら、8ビートのアレンジもマッチしますね。前奏から冒頭のI→♭Ⅱの進行が特にそうなのでしょう。また、オスカー・ピーターソンなど超速で演奏してはいますがゲッツのようにややゆったりとした8ビートで大きく乗るプレイも非常によい。ピーターソンは例外としてむしろコードにとらわれすぎずに大きく広く乗るべき曲なのでしょう。
この曲、本当に1950年の録音と聴き比べるべきです。ゲッツのプレイの変化がよくわかります。