スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

「Spring Can Really Hang You Up The Most」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

バラード「Spring Can Really Hang You Up The Most」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは9テイクの録音を残しています。動画は追いきれないのでノーカウント。1960年の欧州ツアーで演奏していたので、1960年スイス、ポーランドデンマーク、オランダのライブ音源が残っています。それから1961年アメリカに戻ってきてからの「Getz At The Gate」、1969年には「Jazz At Radio Rai」なども。

この曲、1コーラスが長いのでテーマを演奏するだけで終わりのときが多いのですが、「Paris 1979」のようにピアノソロが入るときもあります。「Getz At The Gate」ではゲッツのソロがある。それからあの美しいイントロがあるヴァージョンがあるのは7テイク、ないヴァージョンは2テイク。

おもしろいのは、まずスタジオ盤、1963年オーケストラ入りの「Reflections」。ギターをバックにすごくリヴァーヴのかかったゲッツの音色がムーディな空間を作る不思議なテイクです。

それからアルバート・デイリーとの1983年のデュオ「Poetry /Stan Getz & Albert Dailey」収録のテイク。この曲の録音としては(残っている限りでは)ゲッツの最後の演奏で、静謐でいままでのなかでも特にじっくりと聴かせるものになっていると思います。ピアノなんだろうけど、うっすらとストリングスがかぶさるように聴こえる。

最後に、ゲッツ参加曲も収録されている「Jazz At The Santa Monica Civic '72」では、エラ・フィッツジェラルドによるボーカルも収録されています。この曲にはゲッツは参加していないけど。

「Seven Steps To Heaven」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

マイルス・デイヴィスでおなじみ「Seven Steps To Heaven」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは2テイクの録音を残しています。動画は追いきれないのでノーカウント。

そもそもこの曲を演奏していること自体が意外に思われるかもしれないけど、ゲッツファンにとっては「Final Concert Recording」という有名盤に入っているから珍しくもなんともないかもしれない。で、もう1テイクが収録されているのが海賊盤の「Marciac Jazz Festival 1990」です。どちらも、ケニー・バロン、アレックス・ブレイク、テリ・リン・キャリントンによるリズムセクション

両テイクとも、非常にゲッツが好調。ソロの一発目はバロンに任せてるので、テーマのあとにまずピアノソロになるのがかっこいい。ゲッツのソロのあとは4バースの交換。キャリントンのドラムは当時の流行りや録音の関係もあって、非常にドライで抜ける音色。いかにも1980~1990年代という感じで、これでソロをとるわけだからゲッツのスタイルとちょっと合わない感じ、それがいかにもゲッツが長いキャリアを持ちそのときどきで若手と新しい音楽に挑戦していったことを表しているようで、いい。「Marciac Jazz Festival 1990」のテイクの方がややテンポが速く、ゲッツはリフをほんの少しだけ崩し気味にしている。それがまたかっこいい。

ゲッツのキャリアでは1950年代前半において「Cherokee」など超アップテンポの曲を演奏する一方、後半ではそんなに速い曲をやらなくなっていった。速すぎる演奏はかっこいいけど、この曲のように適度な速さだと、アップテンポだけど心地よい。

ディジー・ガレスピーとの共演

ゲッツとディジー・ガレスピーとの共演は、まず1953年の「Diz & Getz」から始まります。このときはスイング経由でスターになったゲッツとビバップ立役者のガレスピーということで「意外な顔合わせ」とされたようですが、その後、「またか」と思うほど共演していきます。

もれがあるかもしれませんが、

Diz & Getz」(1953年)

Diz & Getz」のCD追加曲(1956年)

For Musicians Only」(1956年)

England 1958 / Chicago 1957」(1957年の方のセッション)

Sittin' In 」(1957年)

Complete Live In Stockholm. November 21 1960 /Jazz At The Philharmonic」(1960年)

Dizzy Gillespie, Johnny Griffin & Stan Getz Festival de Châteauvallon 1971」(1971年、「Summertime /Dizzy Gillespie - Johnny Griffin Quintet」と同じ音源)

Newport In New York '72」(1972年)

Homage To Charlie Parker」(1989年)

といったところでしょうか。

一般的に、ジャズファンはサックス奏者のブラインドフォールドテストはそんなに苦手ではない、音色という手掛かりもあるので。でもトランペット奏者となると音色の違いがほとんどないからなかなかわからないものです。フレディ・ハバードみたいに明らかに別格なのは違いますが。それでも、ゲッツマニアは上記のような共演盤を通してガレスピーの演奏をさんざん聴いているので、ブラインドフォールドテストで「ガレスピーか否か」ということについては自信をもって答えられます。ここまで共演していると、もうゲッツと共演するトランペット奏者がガレスピーでないだけで残念な気持ちになります。コンテ・カンドリとかロイ・エルドリッジだったりすると損した気分になるw