(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)
マイルス・デイヴィスでおなじみ「Seven Steps To Heaven」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは2テイクの録音を残しています。動画は追いきれないのでノーカウント。
そもそもこの曲を演奏していること自体が意外に思われるかもしれないけど、ゲッツファンにとっては「Final Concert Recording」という有名盤に入っているから珍しくもなんともないかもしれない。で、もう1テイクが海賊盤の「Marciac Jazz Festival 1990」です。どちらも、ケニー・バロン、アレックス・ブレイク、テリ・リン・キャリントンによるリズムセクション。
両テイクとも、非常にゲッツが好調。ソロの一発目はバロンに任せてるので、テーマのあとにまずピアノソロになるのがかっこいい。ゲッツのソロのあとは4バースの交換。キャリントンのドラムは当時の流行りや録音の関係もあって、非常にドライで抜ける音色。いかにも1980~1990年代という感じで、これでソロをとるわけだからゲッツのスタイルとちょっと合わない感じ、それがいかにもゲッツが長いキャリアを持ちそのときどきで若手と新しい音楽に挑戦していったことを表しているようで、いい。「Marciac Jazz Festival 1990」の方がややテンポが速く、ゲッツはリフをほんの少しだけ崩し気味にしている。それがまたかっこいい。
ゲッツのキャリアでは1950年代前半において「Cherokee」など超アップテンポの曲を演奏する一方、後半ではそんなに速い曲をやらなくなっていった。速すぎる演奏はかっこいいけど、この曲のように適度な速さだと、アップテンポだけど心地よい。