スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Paris 1979

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Jazztimeの海賊盤CD-R。2枚組です。このシリーズはどれもこれも「期待していなかったらすごい演奏が詰まっていた」という感じ。これだって、ジャケットは「Another World」のものを流用しているし、チャック・ローブがいる時点でまったく期待していなかったのだけど、似たようなメンバーの「Empty Shells」より締まっている。もう少し時代が下ると、ピアノがアンディ・ラヴァーンからミッチェル・フォアマンに代わってさらによくなるしチャック・ローブのコンポーズも良くなっていくんだけど。それでも「Utopia」とかの頃に比べて、ラヴァーンもだいぶよくなりました。特に作曲がかなりマシになしました。

1曲目の「Kali-Au」はパット・メセニー・グループを彷彿させる曲で、ライブよりはスタジオでじっくり取り組めばもっといい演奏になったであろう曲。ほかでもやっていますが、こちらの方が出来がいいと思う。4曲目「Europa」はここでしか聴けません。誰の作曲なのかもわからない。とにかくレアであることは変わりない。

Empty Shells」と重なる曲が多いのだけど、まだこの時期に「Lester Left Town」をやり続けているのが、いかにも過渡期的。これはゲッツにとっても1970年代のレパートリーで、1980年以降は演奏しなくなりますね。一方、60年代からずっと愛奏している「Spring Can Really Hang You Up The Most」がまだ演奏されている。60年代のときよりさらに円熟して、さっぱりしているわりには感動が深い。いえいえ、実は1983年のDVD 「Vintage Getz」でも演奏しているので、かなり長くやっていることになります。一方、ゲッツ以外の演奏は知らないのがまた選曲のおもしろさを感じさせる(私が知らないだけでしょうけど)。

ラストの「Stan's Blues」、時代を追ってきてついにあのメロディの登場です。このライブが1979年11月、それより少し早い「Live At La Spezia Jazz Festival (Italy, July 7, 1979)」はタイトル通り7月のライブ、とにかくあの「Stan's Blues」の登場は1979年からですね。1951年の「Stan Getz At Storyville」での演奏はノーカウントで。1977年、スティープルチェイス盤では同タイトルながら別のメロディでした。

あ、「あのメロディ」とか「別のメロディ」というのが何を言っているのかわからない人は、こちらをご覧ください。「あのメロディ」がBの方です。