スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Timeless /Diane Schuur

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ゲッツは1979年のモンタレー・ジャズフェスティバルで初めてダイアン・シューアを聴いて圧倒され、その場で支援していくことを申し出たそうです。

さて、そのシューアの歌伴としてゲッツは3枚のアルバムに参加してます。死後のオーバーダブのものを入れれば4枚になりますが。そのうちの1枚がこのアルバム。ゲッツが2曲参加して、完璧なまでにシューアをサポート。

まずは「How Long Has This Been Going On」、歌詞の内容にも合った幻想的なアレンジとゲッツのソロの入り方が最高。ゲッツはイントロから全般的にオブリガートをつけて、シューアを引き立てる。こういうストリングス(シンセ?)入りのジャズボーカルもいいですよね。後半、シューアのフェイクしたメロディを拾ってそのままオブリガートにつなげるところがあって、それがまたかっこいい。さすが歌伴の名人。でも「ゲッツは歌伴がうまい」と言っている人で70年代以降やこの80年代の録音を聴いている人が何人いるんだろう。多くのジャズファンが60年代までのゲッツしか聴いてないという事実があります。

さて、それからもう1曲は、ゲッツが「The Dolphin」でも演奏していた「A Time For Love」。私はこの曲の持つ独特の雰囲気が大好きです。ゲッツによるイントロのあと、「あれ?少しはずしたの?」という感じでシューアが入る。間奏におけるソロは短いけど、こちらも5分以上の曲でけっこう全体的にからんでいてゲッツ参加トラックとしては満足。これで終わりかと思っていたら最後の最後にゲッツが音を鳴らすのがかっこいいです。

タイムレス

タイムレス

  • アーティスト: ダイアン・シューア,ジェラルド・ヴィンチ,スタン・ゲッツ,オッサ・ドロリ,アーノルド・ベルニック,ブルース・ドゥコフ,ヘンリー・ファーバー,レッグ・ヒル
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2014/07/23
  • メディア: CD
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Final Concert Recording

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映像作品もでている2枚組CDです。DVDと編集状態もまったく同じ音源だけど、やはりCDで聴いたほうがゲッツの音楽に集中できる。あんなシャツ着てるとは想像していなかったし・・・youtubeに上がっている、ショートパンツで演奏しているのなんて、ホント見なければよかったw

閑話休題、アルバムタイトルで「ファイナル」とはいうもののすでに本当のラストレコーディングの「People Time」は世に出ているわけで、これは「カルテットとしては」ファイナル、という意味でつけられたタイトルです。もっともこのアルバム発表後、これよりさらに後日付の、レギュラーではないけどカルテットによる発掘音源「Not So Long Ago」が発売されたけど。だから「レギュラーカルテットとしてはファイナル」と考えればいいのかな。いや、でもベースのアレックス・ブレイクもドラムのテリ・リン・キャリントンもツアーメンバーではあるもののレギュラーでなくツアー限りのサポートメンバーでしょう(違う?)、そうすると「このメンバーではファイナル」、でもそれを言うなら多くのライブがファイナルになるわけで、これはタイトルをつけたプロデューサーの勇み足ですね。

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(なんてことを当初言っていましたが、その後、CD-R盤ではありながらも「Marciac Jazz Festival 1990」が発掘されました。このメンバーでもファイナルではなかった。)

 

それにしても、こんな名盤めったにないです。否定的な人もいるようですけど、アルバム「Apasionado」からのフュージョンタッチの数曲は大好き。よくもあのアルバムの曲をライブでやる気になってくれました。特に「Espagnira」はスタジオ盤よりエキサイティング。選曲は、その他はほぼこの頃のゲッツのレギュラーカルテットのレパートリーから。ほんの少しだけ装飾が付いた 「Soul Eyes」「Blood Count」などもおもしろいかも。「On A Slow Boat To China」の4小節交換が微妙でラストテーマ直前はゲッツが「えい、や」で入っている気がするのは私だけでしょうか。

それから、珍しく「Seven Steps To  Heaven」を演奏している。似合わないというか意外性という点では、全録音の中でもこの曲がトップにくるかも(いや、「Marrakesh Express」収録曲の方が上かw)。それでもインタルードからソロブレイクのところがいかにもゲッツらしく、ゲッツにばっちりフィットしている。ここを聴いただけで並みのミュージシャンと違うのがよくわかる。

後半ステージ、アンコールの前にはこの頃の定番「What Is This Thing Called Love?」を演奏している。テリ・リン・キャリントンのソロからケニー・バロンによるイントロに移行する瞬間は、ほかのどのテイクよりもかっこいい。作曲者のコール・ポーターには申し訳ないけど、「What Is This Thing Called Love?」にはもったいないほどのかっこいい導入。

しかし、アンコールを含めて全14曲中3曲がバラード。バランスとしてわるいわけではないけど、アップテンポばかりだった50年代のゲッツのライブレパートリーとは全然違うね。

 

Final Concert Recording

Final Concert Recording

 

 

Mort d'un pourri

 

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アラン・ドロン主演映画のサントラ盤。サントラだから、つかみどころのない曲が続く。テンポもほとんどミディアム以下、さらにフランス映画だからほとんどの曲が暗い。朝から聴いたら死にたくなる。

普通にジャズをやっている曲は1,2曲。その分ゲッツの伸びやかな音色を堪能できるというメリットがあります。

ストリングスとの共演のほかにいくつかコンボ演奏も入ってるんだけど、データを見るとベーシストはリック・レアードとなっている。マハビシュヌ・オーケストラの人だよね。こちらはウッドベースで普通の演奏をしているだけなんだけど。

 

私が持っているCDは日本盤ではないのでライナーがすべてフランス語。そのため趣旨がわからないんだけど、2曲ボーナストラックがあります。なんと、オルガンのエディ・ルイスとビリー・コブハムとのトリオ。こっちはマハビシュヌ・オーケストラのドラマーか。

と思っていると、追加2曲のうち1曲目はほとんどドラムを叩かず、2曲目でロックっぽくないプレイをしている程度。それでもうまい。ゲッツとの共演はレアですよね。「Montreux summit」での共演以来かな。

ところでこのボーナストラックでは、ソプラノサックスを吹いている・・・らしいんだけど、え?これ?同じく1981年に録音された「Billy Highstreet Samba」でのソプラノサックスとはまったく違う、艶もない、言われないと分からない程度の使用。

 

Mort d'un pourri

Mort d'un pourri