スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

'Round Midnight In Paris

f:id:torinko:20201103155916j:plain

数曲が「With European Friends」と重複している。ディスコグラフィーで調べると「Topsy」「'Round Midnight」「A Ghost Of A Chance」はこちらのみ収録らしいとわかるんだけど、「A Ghost Of A Chance」は実は「With European Friends」に「They All Fall In Love」という間違ったタイトルで収録されている。

「Topsy」は2番手にソロをとったゲッツが、あっという間にソロを終える。これだけ?という印象。ラストのテーマのブリッジでの演奏を聴いても、なんだかやる気がないのか調子が悪いのか。

「'Round Midnight」は、ここに限らずジミー・レイニーと組んでいた頃のような演奏になっていないのがいい。最初からテーマメロディを吹かずにアドリブに入る。これはいい演奏。16小節でやめちゃうけど、最後のブリッジでまた登場、ん?またギター?ソロの振り方がテキトーだなあ。

 

直近発売されたCDには未発表音源も追加、「+4」のうち3曲はアルバム「Without A Song」に収録のテイク、残り1つは発掘当時かなりレア感があったものの今では珍しくなくなったドナルド・バードとの共演による「Fontessa」です。

Round Midnight In Paris + 4 Bonus Tracks

Round Midnight In Paris + 4 Bonus Tracks

 

Jazz At The Santa Monica Civic '72

f:id:torinko:20201103155837j:plain

ノーマン・グランツによるいつものジャムセッションみたいなものなんだけど、CD3枚組でもまったく飽きさせない。特に素晴らしいのがエラ・フィッツジェラルドだけど、今回はゲッツの話だけにしておきます。

ゲッツはJATPオールスターズとしての5曲に参加。グランツのMCによりメンバーが紹介されると観客からは大歓声があがる。この感じからすると、呼ばれてからステージに登場しているのかな。ハリー・エディソンのときの歓声が小さいのが気の毒。逆に、ロイ・エルドリッジでどうしてこんなに喜ぶのか理解不能。同じくテナーで、テキサス系エディ・ロックジョウ・デイヴィスとの共演というのはいいですね。さすがグランツ。リズムセクションカウント・ベイシー、フレディ・グリーンに、レイ・ブラウンエド・シグペンという、ごった煮オールスターズ。

 1972年、このころのゲッツはわがまま放題の時期だと思うので、ソロはほぼ1番手か2番手。大先輩相手に遠慮を知らない。しかし「In A Mellow Tone」なんかやるんだから、セッションというのは意外なゲッツの一面が聴けておもしろいものだなあと思う。ゲッツによるエリントンナンバーは割と少ないし、その中でも「In A Mellow Tone」のようなシリアス系でない曲というのも新鮮。

バラードメドレーはゲッツだけ短いのが気にいらない。みんな3分前後なのに、ゲッツの「Blue And Sentimental」は2分未満なんですよ。

3枚組CD、コンサートは冒頭のカウント・ベイシー楽団やJATPのあとのエラ・フィッツジェラルドのステージを経て、エラとその他の皆さんの共演でフィナーレ。ラストはエラの歌との4小節交換を交えた「C Jam Blues」。スターの技量とエラのエンターテイナーぶりで、こんな曲でも「またブルースか」とは思わずに楽しませる。はっきりいってすごすぎる。しかし、ここでのゲッツはなぜか調子がわるいけど。

CD3枚のうち、ゲッツ参加は1枚強というところだけど、全体的にすごくいいアルバムで、3枚通して聴いてもつかれません。これはかなりお薦めアルバムの1つ。

Jazz at Santa Monica

Jazz at Santa Monica

 

Stan Getz At Large Plus Vol.1,2

f:id:torinko:20201103155714j:plain

Stan Getz At Large」のセッションで発表されなかった3曲が、2枚に分けて収録されている。昔は入手困難だったのに、今はアマゾンでこんなものが買えます。↓

f:id:torinko:20201103155803j:plain

私はけっこうな額で2枚別々のものを買ったんですけどね。待てば安く買えたのね。

 

未発表だったのは「The Thrill Is Gone」「Born To Be Blue」「A New Town Is Aa Blue Town」。すばらしい演奏で、どうせだったらオリジナルアルバムの数曲と入れ替えて2枚組バラード集にでもすればよかったのに、と思うくらい。大嫌いな「The Thrill Is Gone」もこれなら聴ける。「Born To Be Blue」は同じ時期の1960年の5月の演奏ではミディアムアップテンポになっているのに、ここではちゃんとスロー。ミディアムの方はほんとにかっこよかったけど、本来はスローの曲なのでしょうから、やはりこちらも名演になっています。

ちなみに、これら3曲は数多く演奏されたわけではありませんが、すべて「Cool Velvet」にストリングス入りのヴァージョンで収録されています。録音は「Cool Velvet」もこの「At Large Plus」も同じ1960年。この頃のレパートリーでした。

 

Stan Getz at Large

Stan Getz at Large