スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

「I Remember Clifford」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

ベニー・ゴルソン作の「I Remember Clifford」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは13テイクの録音を残しています。

実は私はこの曲をそれほど好きではなかったのですが、だんだん好きになっていきました。ゲッツの13テイクというのはけっこう多いですね。フォーマットも多様で、普通のアコースティックなカルテット編成だけでなく、チック・コリアとの「Complete Live At Montreux 1972」ではフェンダーローズと、1971年のオルガントリオとの演奏2枚もありますし、晩年「People Time」ではピアノとのデュオでした。さらに「Didn't We」ではオーケストラとの共演というフォーマットです。

1959年から1991年まで、かなり長期に渡った愛奏曲ではあります。ほかにもそういう曲があるのですが、ゲッツによる「I Remember Clifford」は何が面白いかというと、毎回徹底的にエンディングパターンが同じというところです。B♭の最低音を使った存在感のあるフレーズから一気に上がって、半音下降フレーズで終わるというパターン。これを聴いて「また同じか」と思うのはまだ三流ゲッツファン、マニアになってくると「これこれ!キター!」と思うわけです。このフレーズがもっともうまく決まっているのが「People Time」の本テイク(当初発表された方)だと思います。ずっと同じフレーズでエンディングを演奏してきましたが、最後の最後でもっともかっこよく決まったなあと思います。前半で「実はこの曲は好きではなかった」と言いましたが、このテイクを聴いてから、ようやくこの曲を好きになったのでした。