スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

「I Can't Get Started」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

スタンダード「I Can't Get Started」邦題「言い出しかねて」ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは3テイクの録音を残しています。昔のスタンダードの邦題は非常にセンスがあります。

3テイクと言っても多様です。まずは「Birdland Sessions 1952」、あのボソボソとした時代の演奏で、たまりません。それから次は「超」がつく名盤1987年の「Anniversary」。まったく時代が違います。こちらはダークなゲッツではなく、まぶしいほど輝いているプレイです。10分以上あるのにまったく飽きない。例のエンディングパターンがまた美しい。

そしてもう1つはシビル・シェパードの歌伴。これがいい。このアルバム、単に歌伴としてゲッツを呼んでいるのではなく、もう1人の主役として扱っているので、ゲッツがかなりかなりフィーチャーされているのです。

そして構成やエンディングに工夫が見られ、かなり楽しめる内容になっています。「シビル・シェパードはもともと歌手ではないから、歌があまり上手でない」という人もいますが、そんなに言うほど悪くないです。そもそもゲッツを聴くアルバムであって、歌唱力を言い出すとアストラッド・ジルベルトとの共演なんか聴けなくなります。