スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Pick Yourself Up /Anita O'Day

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アニタ・オデイ1956年の録音。アニタのハスキーな声がとっても魅力的な名盤。

ゲッツは5曲に参加している・・・はず。ソロが聴けるのは「I Never Had A Chance」だけ。それもかなり短い。ヴァーヴだから契約上の問題はなかったと思うんだけど、ギャラの折り合いがつかなかったのかな。

 

まあ、ほかの曲ではバド・シャンクやフランク・ロソリーノ、ポール・スミスのソロも聴けるから、ウエストコーストのファンにはいいアルバムだけど。ゲッツ目当てでないのなら買って損をしない内容です。

 

ピック・ユアセルフ・アップ・ウィズ・アニ(Pick Yourself Up)

ピック・ユアセルフ・アップ・ウィズ・アニ(Pick Yourself Up)

 

Utopia

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Poetry In Jazz」に似ていて違うアルバム。「Poetry In Jazz」と比較して、録音状態はわるくてもバランスはわるくない。選曲もアンディ・ラヴァーンの曲は2つに抑えているのがよかった。パーカッションも多彩ながら目立たず、一息つける。ゲッツはむしろリラックスしすぎているかも。ボブ・ブルックマイヤーの参加も違いの1つか。

 

「Lester Left Town」は64小節の曲で、並みのプレイヤーが演奏するとダラダラとしてしまうが、やはりゲッツは違う。スイングでパーカッションが入っているのはいただけないけど。でも続いてラヴァーンのタイトルだけは一人前「Jet Lag」が来るとガクっとくるんだよなあ。

とってつけたような「Willow Weep For Me」は一体何なのだろう。パーカッションは不参加らしいし、ベースソロの途中でブチっと切れるし。何より、このテンポ、この曲想でキメがあることには苦笑する。

 

と、文句をいっているようですが、好きでないこの時期この編成のものながら実は割と好きなアルバムで、何度も聴いています。

 

Utopia

Utopia

 

Bob Brookmeyer & Friends

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なぜボブ・ブルックマイヤーのリーダーでこのメンバーを集めることができたのかと思ってしまう。ゲッツのほか、ゲイリー・バートンハービー・ハンコックエルヴィン・ジョーンズ、CD追加曲ではトニー・ベネットも。エルビンのドラムがやはり特徴的で、ブルックマイヤーと合っているのか微妙なところもある。ハンコックの存在感はあまりない。

 

やはりゲッツのポジションは他のミュージシャンよりも上で、かなりゲッツをフィーチャーした内容になっている。バートンのイントロがかっこいい1曲目に続いて、2曲目の「Misty」冒頭におけるゲッツのサブトーンは最高。トロンボーン用に一般的なキーではなくD♭でやっている。バラードはほかにも「Skylark」「 I've Grown Accustomed To Her Face」が入っていて、こちらもゲッツのすばらしい演奏が聴ける。ゲッツのバラード演奏としては、このアルバムは非常に良い教科書。

 

「Sometime Ago」は当然チック・コリアの方ではなく、ビル・エヴァンスが「You Must Believe In Spring」で演奏している美しいワルツの方。たぶんこの曲を好きな人は多いと思うから、これはうれしいんじゃないかな。エルヴィンのドラムがムード無視でジョン・コルトレーン・カルテットのときよりちょっと優しくなった程度なのが笑えるんだけど。そういえばこのアルバム、「A Love Supreme」と同じ年の録音だったかな。