スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

ゲッツの欧州ツアー

「ツアー」というわけでもないのですが、ゲッツが欧州で演奏した記録(録音)があるものを整理してみました。

北から、イギリス、ノルウェースウェーデンデンマークポーランド、ドイツ、オランダ、フランス、スイス、イタリア。こんなところでしょうか。あと、今はどこになっているのかわからないけど旧ユーゴスラビアでの録音もある。

ベルギーには行ってないのかと思いますが、おそらくフランスやオランダ、ドイツへのアクセスが容易だから無理にここでライブしなかっただけなのかもしれない。ルクセンブルクも同様。ジャズが盛んなフランスでの録音は多く残っているという印象です。

時代が時代だけに、東欧ではなかなか演奏できなかったでしょうね。フィンランドも当時のソ連に接していたし。でもソ連従属尾国であったポーランドでは1950年代~1980年代にかけて何度もライブをしています。理由はよくわからない。ドイツでのライブは西ドイツだけでした。

不思議なのが、イベリア半島でのライブ録音がないこと。私が知らないだけでしょうか。持ってるのかな?思い出せない。日本でのライブの録音は数曲ありますが・・・

ちなみに地図のはるか北にあるアイスランド、名前からして凍えそうですが、暖流と地熱の影響で、夏の気温は10度くらいだけど冬の平均気温もマイナス1度までは下がらないらしいです。

Oslo 1977

「Megadisc」というところのCD-R盤。いくつか出しています。特段音質も悪くないし(オーディオマニアには我慢できないかもしれないけど)、くっきりはっきり聴こえて良い内容です。なぜか観客の拍手が聴こえない曲も混ざっていますが。

全8曲、全半4曲がノルウェーオスロでのライブ。なんと、ピアノがアンディ・ラヴァーンなのですが、例のつまらないオリジナル時代ではないんですよ。「Jet Rag」「Academy Of Love」「Pretty City」「「Utopia」・・・ラヴァーン時代の悪夢が呼び起こされるラインナップ、あれが1978年から始まるわけですが、その前の時代。彼のオリジナル曲がないという時点ですばらしいwミルトン・ナシメントの「Canção Do Sol」も収録されています。

ボサノヴァのメドレーではビリー・ハートが無国籍のリズムを叩き、良くも悪くもアメリカで「ジャズのボサノヴァ」がすっかり市民権を得たことがわかります。「Stan's Blues」は珍しくゲッツがリフを間違っていたり、ハートのドラムが効果的なのか勘違いしてるのかわからないなりにもかっこよかったり、ブルースにパーカッションが参加しているのが非常に間抜けっぽかったり、ラストテーマでのベースが改めて2ビートから4ビートに変わるのがこれまたかっこよかったり、聴きどころは多いです。

 

後半4曲は「Live At Sir Morgan's Cove 1973」にも収録されているドイツでの1971年のオーケストラ共演ものです。

 

「But Not For Me」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

ガーシュウィンのスタンダード曲「But Not For Me」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは3テイクの録音を残しています。動画は追いきれないのでノーカウント。

あれ?こんなに少なかった?という印象。まず1964年の「Stan Getz And Guests Live At Newport 1964」、チェット・ベイカーがテーマからソロに入り「ゲッツは不参加か?」と思いきや、ちゃんとソロをとっています。

ゲッツとチェットの共演としては1983年、ノルウェーでのライブ「Quintessence, Vol. 1 /Stan Getz Quartet With Chet Baker」、ぐっとアップテンポでチェットがボーカルを披露しているテイク。キーは一般的なE♭メジャーなので、トランスクライブすればフレーズはそのまま使えます。

しかしゲッツの「But Not For Me」と言えばやはりこれでしょう、いろんなCDに入れられている、私がいう「ワルシャワ5」の中のテイクですね、「Stan Getz In Warsaw」などに入っている1960年のポーランドでの録音。半コーラス休んでからゲッツが入ってくる瞬間が最高にすばらしい。1950年代後半から1961年初頭までの欧州逃避時代の録音でもっともすばらしいのがこれではないのかと思うほど。いや、実際にはいつものレパートリーのライブ録音がたくさん出回っていて食傷気味になるかと思いきや、ほぼどれも調子がよくて、どれも聴くたびに「うーん、これがこの時期のベストかな?」と思ってしまうのだけど(例外はあります)。

ところで、おもしろいことに、このテイクはなぜかキーが違うのです。実音でFメジャー。だからこれはそのまま採譜してもすぐには使えません。いや、ピアノで採譜したものを移調しなくても使えるというのは有用かもしれませんが。