スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Stan Getz Miles Davis Rare Live

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ジャズ界でもっとも期待外れの1枚。まずこの2人の共演ではないのにこのジャケット。マイルス・デイヴィスの方の録音も、レスター・ヤングの衰えっぷりが悲しくなるんだけど、やはりゲッツの録音について。

このアルバムがどうして期待されるかというと、スコット・ラファロの死の3日前の演奏が収録されているから。1961年7月3日のライブ。この時期、ラファロはゲッツのバンドとビル・エヴァンスのバンドの両方でレギュラーを務めてました。

ところが録音状態が悪すぎて、バッキングをしているときの音はほとんど聴こえない。「Baubles,Bangles And Beads」なんか、ホントにベースレス状態。それでも3曲中2曲でソロが聴ける。おなじみの音色とフレーズを聴くとビル・エヴァンス・トリオでの演奏がよみがえってくる。

3曲目の「Where Do You Go」はミスクレジット。ルーストのセッションでジジ・グライスの「Wildwood」として収録されている曲だよね。ゲッツはMCではっきり曲名を言ってるけど、間違い。本当の「Where Do You Go」は他のアルバム(「Getz At The Gate」など)に収録されています。よくわからないふわっとした曲だから期待しなくていいですけど。

ゲッツについては問題なく良い。音質が悪いためにロイ・ヘインズのドラムが気にならないのが怪我の功名かな。

 

よく考えてみると、このアルバムに収録されている3曲はほかにもいろいろなCDに入っているので、そちらを持っていればこのアルバムは不要なんですね。

 

レア・ライヴ

レア・ライヴ

 

 

Live At Newport 1966 / Hollywood Bowl 1986 Woody Herman

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ウディ・ハーマン楽団の1966年と1986年のライブを収録したもの。この頃は往年の鋭さもなく、ゲストと新人アレンジャーでなんとか客を集めていたのでしょう。

 

1966年のコンサートの方は2曲。お約束の「Four Brothers」と「Early Autumn」です。いつもこの2曲でまたか、とも思うけど、「Four Brothers」はややテンポが落ちていて聴きやすい。ゲッツのソロは手抜き風。

「Early Autumn」はオケのバランスが取れていないので、聴いていて違和感がある。低音パートが目立っているんです。ゲッツはなんだか調子が悪いような演奏。1972年の同じくウディ・ハーマン楽団客演時の方がいいプレイをしている。

 

1986年のコンサートの方は3曲。お約束の2曲がないのが以外です。そういえば1981年の「Live At Concord Jazz Festival」でもこの2曲はやってなかった。80年代のハーマン楽団は方針を変更したのか、聴衆の年齢層が変わって昔のレパートリーはウケなくなったのか、ゲッツがウンザリして別の曲を申し出たのか。

さてここでは当時のゲッツのレパートリー「Easy Living」を骨太にキメて、続いて80年代のゲッツと言えばこれ、という「Dolphin」に続く。これがテンポ設定が速すぎて、曲のもつ雰囲気をぶち壊している。たまたま速くなってしまったのでなければ、アレンジャーは繊細さをまったくわかっていない。名曲なのにね。ゲッツもしっかりソロをとるものの、ちょっとヤケクソ気味か。間に挟まるリフも無粋で、ひと頃のボサノヴァをまったく理解していなかった時代のアメリカ人という感じ。アレンジャーはレベルが低い。金管が目立つオケでやる曲ではないね。何より、タイトルとクレジットが間違っているのが気にいらない。「El Delfin」って、スペイン語?クレジットのManos Loizosって誰?作曲者はルイス・エサですよ。

しかし続いて演奏される「Legacy」はかっこいい。曲想はこの時期のゲッツのスタイルにマッチしていて、かなり良い演奏。オケはゲッツをばっちりと盛り上げている。

Woody Herman Live At Newport 1966 / Hollywood Bowl 1986

Woody Herman Live At Newport 1966 / Hollywood Bowl 1986

 

Hamp & Getz

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この頃頻繁に演奏していた「Cherokee」、普段より少しテンポを落として、とてもリラックスした演奏になっている。あくまでも「少し」だけなんだけど。50年代ということで、ライオネル・ハンプトンのおなじみのうなり声も若若しい。

「Ballad Medley」はピアノやベースに振らず、2曲ずつゲッツとハンプトンが分けているのがうれしい。「Louise」はよくもこんな古い曲を選んだなあという感想だけど、よく考えると二人ともスイングのスターだった人。

しかし、とにかくハンプトンが歌う、歌う。やはり極めつけのエンターテイナー、音楽にもそれがよく表れている。ゲイリー・バートンとの録音でゲッツのヴァイヴとの共演には慣れているつもりでも、全然違うサウンドが飛び出してくる。どちらがいいという話ではなく、やはりプロはそれぞれ個性がすごいということ。

ところで、CD追加2曲に参加しているトロンボーン奏者は誰なんでしょうね。

 

 

Hampton & Getz

Hampton & Getz