(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)
ディジー・ガレスピーが書いた「Woody'n You」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは12テイクの録音を残しています。エンディングパターンだけをいくつか試しているテイクも入れると13です。いや、これは含めてはいけないか。マイナーⅡ-Ⅴというか、ハーフディミニッシュが多いAメロは、いわゆる「一発」で演奏することはできません。
キャリアの初期のレパートリーで、一番古いのは「Move/Miles Davis & Stan Getz」における1950年の録音。クール時代のゲッツの「Woody'n You」は新鮮です。
私が一番好きなのは1952年「Birdland Sessions 1952」でのインコンプリートテイク。音質は悪いのですが演奏内容がすばらしい。
演奏を繰り返すたびにテンポが上がるという「ナーディスの法則」に抗うかのように、1953年「Live At The Hi-Hat 1953 Vol.1 」での演奏は少し遅くなっています。
1957年に2つのスタジオ録音をしたあと、欧州に行ってからもいくつか録音を残しています。さらに、1961年アメリカに帰国したあと、再びバードランドやヴィレッジゲイトでも演奏するなど、けっこう長い間のレパートリーでしたが、このあたりを境に演奏しなくなります。1962年以降はボサノヴァブームとなり、ゲッツだけでなくジャズ全体の多様化が進んだ時期だったと思います。
最後の録音は(多分)ゲッツがメインストリーム回帰した1981年のオーレックスジャズフェスティバルです。演奏はなんだか調子が悪いようですけど。
ところで、ゲッツが一番多く録音を残している曲の候補はこの「Woody'n You」かなと思っていましたが、違いましたね。まだいくつか、たくさん録音を残している曲はあるけどそれでもおそらく10前後か。この分だと「Yesterdays」で決まりでしょうか。