スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Academy Of Jazz

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 この時代のボブ・ブルックマイヤーとのバンドは、ゲッツのキャリアの中でもっともつまらない時期だと思う。なぜか。50年代の北欧でダラダラやっていたときはレパートリーに魅力はなくても悪くはなかった。それに対して、この時代は、ブルックマイヤーが入っていなかったりパーカッションがいなかったりとヴァリエーションはあるけど、要するにアンディ・ラヴァーン時代、というべきかもしれない、つまりラヴァーンの作曲がダメなのだ。よくわからない、ジャズ批評では「印象に残らない」という意見があったが、いやいや印象に残る残らない以前にとにかく駄曲。ゲッツのいつもの「オレはいくつか決めたから、あとはお前たちがオリジナルでもなんでもいいから曲を用意しろ。」というのが完全に失敗した時代(このレパートリー決定方法は、完全に私の想像ですが、ライブ音源をたくさん聴いているとそんな感じがしますよね)。

 

とはいえ、マニアはそんなこと気にしない。ゲッツのソロがよければそれでまずは及第点。このアルバムも、よくもこんな曲でしっかりしたソロができるものだ、とゲッツを改めて評価したい。

それに対してブルックマイヤーは、おいどうした?というほどダサいソロ。確かに50年代の共演からそういう瞬間も聴かれたんだけど、ここでの彼はたまに見られる「ジャズを知らないけどアドリブだけはできるものだから、たまたま参加したジャズバンドの中で自分が浮いていることがわからないブラスバンド出身の金管奏者」のようなフレーズをしっかりと演奏する。

 

うーん、アルバム自体にほめるところがあまりないなあ。あ、ジャケットのゲッツが着ているシャツは、1972年モントルージャズフェスティバルのときに着ていたものですね。どうでもいいことですが、これ、白色と紺色が逆になっているヴァージョンもあり、YouTubeにそれを着ている動画があがっています。

 

ジャズ批評No.119

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ジャズ批評のスタン・ゲッツ特集号。これを最後に、ジャズ批評は季刊から隔月刊になりました。

内容について言えば、大物評論家の文章も含めて全体的に「わかってないなあ!」という感想です。いえいえ、それでこそジャズファンですよね。ジャズファンは「自分が一番わかっている」という気持ちを持たなくてはなりませんからwいまだにユダヤ人がどうのこうの言う文章は論外だけど、貴重な写真なども掲載しており、これは一家に一冊の本でしょう。この号の発売後にもどんどん未発表音源が出ていますし、この時点で発表済みでも抜けているものが少しだけあったりしますが、ロックやポップスの録音への参加などはコレクションの一助になると思います。

途中で出てくるマウスピース考で、なぜかベルグラーセンの話をしているのにわざわざ他のマウスピースの写真を「ベルグラーセン(この写真はベルグラーセンではありません)」みたいに掲載しているのは、いったい何がしたかったのかよくわからないw

 

ジャズ批評のいいところは、入手可能なものを中心に誌面を組むところですね。某評論家は、顔もしらない読者に対するマウンティングなのでしょう、わざわざ入手困難なレコードばかり紹介したり、お薦めアルバムとしてジャズでなくルーツ的なブラックミュージックを取り上げたりするので、嫌になります。

ネット上でも、たまにいますよね、意見の相違(Getz/Gilbertoなどダメだ、お前はバカだ、とか)で攻撃してきたりやマウンティング(People Timeが良いって?わかってないねえ、ゲッツの最高傑作は入手困難な○○、どうせあんたは持ってないだろうな、とか)をする人たち。会ったことない相手になぜそんなことするのかなあ。

とはいえ、このブログはその性質上どうしても入手困難盤も取り上げざるを得ませんが、ご容赦ください。

The Complete Interpretations Sessions

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ジャケットを見てわかるように、「Interpretations」のセッションを集めたもの。だけど別テイクらしきものが3つ入っています。

 

まず、「Interpretations #3」の「It Don't Mean A Thing」の別テイク。なんだかのんびりほんわかしていて、本テイクより緩いんですよ、テンポはほぼ一緒なのに。これはこれで聴く価値かなりあります。

それから「Interpretations」(あえて#1とは言わず)の「Pot Luck」。これも本テイクとは感じが違います。ただの別テイクという趣ではありません。CDでは「Single Version」と書いてあるので、イパネマのときのような単なる編集かと思うと、違います。

 

ところがもう1つの見慣れない「We'll Be Together Again」の「EP Version」は、LP Versionのカット編集版でした。聴いてみないとわからないですね。

 

 

The Complete Interpretations Sessions + 5 Bonus Tracks

The Complete Interpretations Sessions + 5 Bonus Tracks

  • アーティスト:Stan Getz
  • 発売日: 2015/01/20
  • メディア: CD