スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Polish Radio Jazz Archives 01

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ホントに、このアルバムが発売されたころは同じく1960年のライブがたくさん発掘されていた。「またか」と思いながらも、どれもこれも抜群の内容。もしかしてゲッツの絶頂期は1960年なんじゃないかと思うほど。

このアルバムは曲名を眺めていると「ワルシャワ5」の全貌が明らかになるのでは、と思いきや、「Out Of Nowhere」と「The Folks Who Live On The Hill」は別の日のライブで、ワルシャワ5からは3曲しか重複していない。聴き比べると全く違います。さすがゲッツ、アプローチが出だしから全然違う。

また、珍しく「Daahoud」をやっているのか!と思って聴くと、毎度おなじみの「Jordu」で、がっくり来る。確かに冒頭の上がっていくメロディは似ているけどさあ。レーベル側のすごい勘違いだ。

「All The Things You Are」ではピアノがやけに調子悪い。イントロも拙く、ゲッツが入ってくるくだりはアレンジではなく聴いてられなかったからではないかとも思う。ベースソロのバッキングもハラハラ。とはいえ、全体的には、最初にいったとおりすごく内容が充実している名盤。こういう録音がまだたくさん欧州のラジオ局に眠っているのではないかな。

Polish Radio Jazz Archives 01

Polish Radio Jazz Archives 01

 

The Be Bop Era

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ビバップの記録が収録されていて、ゲッツの録音ということを抜きにしても楽しめるアルバム、ジャズファンなら。面白さよりも貴重な記録という意義の方が大きいから。

1950年のメトロノームオールスターズの録音。「Double Date」「No Figs」の2曲でゲッツが聴ける。メンバーはマックス・ローチレニー・トリスターノ、カイ・ウインディング、バディ・デフランコリー・コニッツ、サージ・チャロフ、ビリー・バウアーなど。さらにディスコグラフィーにはディジー・ガレスピーの名前もあるけど、「No Figs」の方ではソロどころかアンサンブルからもトランペットの音色が聴こえない。「No Figs」はトリスターノの曲、曲想もアレンジも完全にトリスターノ色。そんな生粋のクール派の中に、「本当はクール派でもなんでもない、単に「スタン・ゲッツ」派であるだけのゲッツ」が入るとこうなるのか。非常に興味深いテイク。

リー・コニッツとサージ・チャロフとの、アルト、テナー、バリトンという編成はソロ回しで聴くと面白い。トリスターノのピアノはいかにも彼らしく、すぐにわかる。ゲッツはすでに自己のスタイルを確立していて、やはり際立っている、と言いたいところだけど、オールスタークラスのメンバー、みんなすごいです。

Live From 1952 To 1955

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ブート音源を集めたアルバムで、フェイドアウトのテイクもたくさん。冒頭4曲はチェット・ベイカーとの「L.A. Get-together!」にも収録されているけど、パーソネル表記がまったく違う。どっちが正しいかは不明。

ゲッツ自身はもっとも好調な時期と言えるだろうか、力むことなく難しい曲でもたやすそうに演奏している。そういうところはゲッツの魅力の1つだろう。10曲目までは「Stan Getz plays」の録音時期を挟んで前後3か月頃の録音だしね。ケニー・クラークバディ・リッチとの共演も入っている。

最後にトニー・フルセラとのクインテット録音が入っているのはマニア垂涎かもしれないけど、フルセラってそんなにいいかなあ?いわゆる伝説的なトランぺッターだから、希少価値だけで高評価を得ている気がしないでもない。

それにしても、ジャズ批評にも書いてあったけど、このジャケット何のつもりなのでしょうね。