スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

The Be Bop Era

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ビバップの記録が収録されていて、ゲッツの録音ということを抜きにしても楽しめるアルバム、ジャズファンなら。面白さよりも貴重な記録という意義の方が大きいから。

1950年のメトロノームオールスターズの録音。「Double Date」「No Figs」の2曲でゲッツが聴ける。メンバーはマックス・ローチレニー・トリスターノ、カイ・ウインディング、バディ・デフランコリー・コニッツ、サージ・チャロフ、ビリー・バウアーなど。さらにディスコグラフィーにはディジー・ガレスピーの名前もあるけど、「No Figs」の方ではソロどころかアンサンブルからもトランペットの音色が聴こえない。「No Figs」はトリスターノの曲、曲想もアレンジも完全にトリスターノ色。そんな生粋のクール派の中に、「本当はクール派でもなんでもない、単に「スタン・ゲッツ」派であるだけのゲッツ」が入るとこうなるのか。非常に興味深いテイク。

リー・コニッツとサージ・チャロフとの、アルト、テナー、バリトンという編成はソロ回しで聴くと面白い。トリスターノのピアノはいかにも彼らしく、すぐにわかる。ゲッツはすでに自己のスタイルを確立していて、やはり際立っている、と言いたいところだけど、オールスタークラスのメンバー、みんなすごいです。

Live From 1952 To 1955

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ブート音源を集めたアルバムで、フェイドアウトのテイクもたくさん。冒頭4曲はチェット・ベイカーとの「L.A. Get-together!」にも収録されているけど、パーソネル表記がまったく違う。どっちが正しいかは不明。

ゲッツ自身はもっとも好調な時期と言えるだろうか、力むことなく難しい曲でもたやすそうに演奏している。そういうところはゲッツの魅力の1つだろう。10曲目までは「Stan Getz plays」の録音時期を挟んで前後3か月頃の録音だしね。ケニー・クラークバディ・リッチとの共演も入っている。

最後にトニー・フルセラとのクインテット録音が入っているのはマニア垂涎かもしれないけど、フルセラってそんなにいいかなあ?いわゆる伝説的なトランぺッターだから、希少価値だけで高評価を得ている気がしないでもない。

それにしても、ジャズ批評にも書いてあったけど、このジャケット何のつもりなのでしょうね。

 

The Brothers

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アルバムの前半7曲がゲッツ参加のテイク。ただし別テイクが3つあるので、実質的には4曲。

テナー奏者が、ゲッツのほかブリュー・ムーア、ズート・シムズ、アレン・イーガー、アル・コーンと、全部で5人もいる。これは何がなんだかわからないだろうという心配が予想されたのか、オリジナルアルバムのライナーにはソロオーダーが記載されていてちょっと安心。

ウディ・ハーマン楽団のフォーブラザーズは、ゲッツ、ズート、コーンとハービー・スチュアートだった。ここでは上記の5人で、一応クレジットは「ゲッツとヒズ・フォーブラザーズ」となっている。

SP時代で1曲が短いうえにソロイストがピアノも含めて6人いるので、ゲッツのソロも基本的には半コーラスか1コーラス。49年の録音だから、コーンも後年の特徴がなく、ズートはゲッツに似ている。ところがこうして同じ曲で聴き比べると確かに違う。というよりやはりゲッツが光っている、と考えるのはファンの贔屓目かな。

 

Brothers

Brothers