英文ライナーを読むと、妻のモニカの兄弟ピーター(ペーテル?)のホームパーティでゲッツがセッションしたものをたまたま録音していたというもの。1977年9月20日の録音。これはもう、よくぞ発表してくれました、という内容。とにかくゲッツがリラックスしていてフレーズが素晴らしい。ちなみにこのピーターくん、3曲目「It's You Or No One」でベースを弾いています。
ホームパーティーにはゲッツと演奏したい地元ミュージシャンがたくさん集まっていたのでジャムセッションになるわけだけど、そうすると当然スタンダードやブルースで固めることになる。70年代後半の音色でスタンダード、もう最高です。
「There Will Never Be Another You」は途中で「Split Kick」を引用しながら、とにかく自由気ままに演奏している。
通常のライブじゃないからテーマも自由自在にフェイクしている。「Polkadots And Moonbeams」の入りがまさにそれ。この曲、ゲッツは演奏するたびにいろいろな表情を見せます。「There Is No Greater Love」もテーマから崩しまくる。もともとテーマとソロの区分が曖昧だったゲッツの本領発揮。
「It's You Or No One」では、ゲッツはソロが終わると曲の途中でどこかに行ってしまって、ピアノトリオのまま4バース&エンディングとなる。コンサートではありえないハプニングも自然体で楽しい。
ほかにもソロが終わったときにゲッツの声が聴こえたり6歳の子どもの話し声が入っていたり、いかにもホームパーティ。リズムセクションは地元のアマチュアが集まったようでピアノもベースも複数人、いい経験になったと思う。うらやましい。ところでゲッツのほかに7人のミュージシャンがいたのだけど、うち3人の名前がLars。「Live In Stockholm 1978」のピアニストもLars。スウェーデンでは多い名前なんですね。この3人のLarsはそれぞれピアノ、ベース、ドラムで、アルバムの4曲がトリオ全員Larsという組み合わせでした。
と、どうでもいい話は置いといて、ホームパーティらしくその場には少人数しかいなかったようで、拍手もまばら。拍手がない曲もあり、君たち、ゲッツのプライベートな演奏を聴けるのに拍手しなさい、と言いたくなる。
最後に収録されている「Coda」はウォームアップを録音したものだけど、ゲッツの指慣らしとして非常に貴重なのではないか。