スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Montreux Summit Vol. 2

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 「Montreux Summit Vol. 1」は2枚組だったけどこちらは1枚。しかし選外曲集というわけではありません。ゲッツは2曲参加。「Red Top」「Night Crawler」の2曲。

「Red Top」はブルーノートを除外したコーラスなどアレンジが美しくかっこいい。ゲッツとデクスター・ゴードンのトレード(ブルースの1コーラス交換)、ウディ・ショウとメイナード・ファーガソンのトレードが聴ける。ゲッツのソロはけっこうワイルドで、非常に新鮮な感じ。そのあとにゴードンが登場するんだけど、単独ソロスペースはなくゲッツのとのトレードのみなんです。もしかしたら編集がされているのかもしれない。だって当時のCBSの2大テナースターでしょ。

Night Crawler」は「Montreux Summit Vol. 1」と合わせてこのシリーズで唯一ゲッツがスイング以外のビートでソロをしているトラック。ビリー・コブハムアルフォンソ・ジョンソンボブ・ジェームスというフュージョンリズムセクションだからやっぱりこういうビートでのゲッツとの共演も聴いてみたいよね。いわゆる一発モノ、1コードの単純な曲なんだけど、よく考えるとゲッツの一発モノは珍しい。いかにもゲッツらしいフレーズが快調で、なんとなくルパン三世の「マグナム・ダンス」に似た雰囲気で、楽しく聴けます。

 

Vol. 2-Montreux Summit

Vol. 2-Montreux Summit

 

Montreux Summit Vol.1

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とにかくすごいメンバー。ビリー・コブハムアルフォンソ・ジョンソンジョージ・デューク(これでコブハム・デューク・プロジェクトのリズムセクション!)ボブ・ジェームス、エリック・ゲイル、スティーブ・カーンにヒューバート・ロウズ、デクスター・ゴードンベニー・ゴルソンなどとゲッツが共演。トランペットにはウディ・ショウとメイナード・ファーガソン。CBSはこういう音源をなかなかCDにしてこなかった。フュージョン勢では売れないと判断されたのだろうか。

フュージョンの大スターによるリズムセクションだけど、基本的には4ビートというのがうれしい。この「Vol.1」はCD2枚組全6曲(というのがすごい)のうちゲッツが4曲参加。「Montreux Summit」「Infant Eyes」「Blues March」「Andromeda」の4曲。

冒頭タイトル曲「Montreux Summit」は大人数による重厚なサウンドが圧倒的で、数あるゲッツのフュージョンの中でも特にフュージョンの魅力にあふれているものではないだろうか。いきなりアグレッシブなソロが登場し、興奮させる。リフやインタルードもかっこいい。ゲッツがコブハムのドラムをバックに、すごくかっこいい演奏を繰り広げる。これはもう、とにかく大名盤。

2曲目「Infant Eyes」はボブ・ジェームスピーター・アースキンが参加。この曲はこの頃のゲッツのお気に入り。もともとこの曲は変に盛り上げずに、最後まで静かに聴かせる曲だからこそ、相当の実力がないとだれてしまう。そこをちゃんと聴かせることができるゲッツはやはりすごい。冒頭、無伴奏ソロによるゲッツの、中~高音域でのサブトーンが綺麗すぎて涙が出そうになる。それから、ピアノソロのあとの、高音によるフレーズで戻ってくるあたり、簡単にフラジオに流れないところがいかにもゲッツ。しかし、1曲目との雰囲気のギャップがすごい。この会場にいたかった。

3曲目「Bluse March」はなんと25分のトラック。コブハムが「Bluse March」ですよ、ブレイキーとの違いにも興味がわきますね。始まってからずっとゲッツが出てこなくて、途中で軽くドラムソロが入るから「もう終わりかな」と思っていると倍テンになり、ロウズのあとにゲッツが登場。いやあ、ここまで長かった。基本的にはコブハムのドラムをフィーチャーしたテイクです。あと、ゲッツとは関係ないけどデクスター・ゴードンがすっかりフュージョンでも通用するようなスタイルになっているのがおもしろい。ところで倍テンになってからのバッキング、ちょっとおかしくないかな?ベースとキーボードでフィールがずれた?フィールのみ倍なのか本当にテンポ倍なのかで合わなくなったのかな?最初の方はフィールのみ倍なのかなと思っているとだんだんわからなくなってくる。ゲッツはかまわず演奏しているけど。

で、ここまでの3曲でCD1枚目が終わる。

 CDでは2枚目、最後の曲「Andromeda」は、某J-POPの曲とは違って曲想は全然ロマンティックではないwいかにもジャズ。最初は8ビート系だけど途中からやっぱり4ビート、デクスター・ゴードンのあとにゲッツが登場。「Havana Jam 2」と同じく、まったく違う2人のテナー奏者を聴き比べられる。これも21分と長尺のトラックだけど、トランペットのバトルやコブハムのソロなど聴きどころは多く、飽きさせない。それにしても、デックスがいつの間にかフュージョンでも通用するようなスタイルになっているのは驚き。

 

2枚組で全6曲、うーん、いかにもジャズって感じでいいですね。ちなみに2枚組で全2曲というものがあったらそれはフリージャズかもしれないので要注意w

 

Vol. 1-Montreux Summit (2CD)

Vol. 1-Montreux Summit (2CD)

 

At Nalen-Live In The Swedish Harlem

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特にすぐれているとは言わないけど、楽しく聴けるアルバム。「News From Blueport」「A New Rhumba」「Catch As Catch Can」などここでしか聴けない曲がつまっている・・・と思いきや、「A New Rhumba」はベースのソロのみ、おまけにテーマからして純度100%の4ビートw、「Catch As Catch Can」はピアノトリオによる演奏。「News From Blueport」はゲッツのソロがあるものの、テーマは当時の欧州組らしくちょっとジャズ度が低いプレイとなっている。いや、ジェリー・マリガンの初演が同じようなアレンジなのだろうか?

 

しかし、このアルバムではよくもわるくもゲッツの「粗削り」な演奏が聴ける。「Gone With The Wind」はこの曲を演奏するときの毎度のお決まりフレーズに少し変化が見られるのもおもしろい。ちなみにこの曲からラストに至るまでだんだん演奏がだれてくる。実際のライブの曲順とは違うかもしれないけどね。逆に「I Want To Be Happy」は非常に余裕のある演奏で、しっかりまとまっている。

「Easy Living」については、80年代のレパートリーという印象があるので、意外感がある。「Summertime」も60年代のゲイリー・バートン時代のレパートリーという印象を持っていたので、同じく選曲に意外な感じ。こっちの方がアレンジは普通なんだけど。

いえ、いま思いつかないだけで、探したら50年代の録音もあるかもしれません。

At Nalen-Live in the Swedish Harlem

At Nalen-Live in the Swedish Harlem