このアルバムには苦い記憶があります。全9曲収録ですが、最初の5曲は「The Golden Years, Vol. 1 1952-1958」に収録されています。おまけにこの5曲はヴィレッジヴァンガードでのライブではありません。看板に偽りあり、です。
まあそれはいい、残る4曲はヴィレッジヴァンガードのライブです。私はその4曲を持っていないとばかり思っていてけっこう期待していたんですけど、レコードを見て「あれ?この曲の並びって・・・」と思いよく調べたら、なんとこの4曲も「The Golden Years, Vol. 1 1952-1958」に収録されている!つまり「The Golden Years, Vol. 1 1952-1958」があればそれでいいということなんですね。ジャズ批評のディスコグラフィー作成者もその重複に気づいていなかったようで、2か所に掲載されていたのでした。そういえば、ジャズ批評のディスコグラフィーはほかにもいくつか重複があって、それを見つけて「ふふふ、まだまだ甘いね」と思っていましたが、私もまだまだ甘かった。
さらにそもそもいろんな海賊盤音源の寄せ集めである「The Golden Years, Vol. 1 1952-1958」、さすがにそれぞれのレコーディングデータを把握しておくことが難しい。コレクター道は厳しいなと痛感しました。
まあそれはさておきですが、内容が重複していたというだけであって内容が悪いわけではありません。1950年代のゲッツの海賊盤は、音質が若干悪いのが逆に時代を感じさせていい雰囲気だし、畳みかけるようなゲッツのフレーズは1960年代以降にはあまり聴かれないもの。「The Golden Years, Vol. 1 1952-1958」って今でも簡単に入手できるのかわかりませんが、そうでないならこっちもいいと思います。また、音源重複など気にせずこのレコード、ゲッツのヴィレッジヴァンガードでのライブと銘打ったものであるというのも貴重かもしれないですね。