スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

At Nalen-Live In The Swedish Harlem

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特にすぐれているとは言わないけど、楽しく聴けるアルバム。「News From Blueport」「A New Rhumba」「Catch As Catch Can」などここでしか聴けない曲がつまっている・・・と思いきや、「A New Rhumba」はベースのソロのみ、おまけにテーマからして純度100%の4ビートw、「Catch As Catch Can」はピアノトリオによる演奏。「News From Blueport」はゲッツのソロがあるものの、テーマは当時の欧州組らしくちょっとジャズ度が低いプレイとなっている。いや、ジェリー・マリガンの初演が同じようなアレンジなのだろうか?

 

しかし、このアルバムではよくもわるくもゲッツの「粗削り」な演奏が聴ける。「Gone With The Wind」はこの曲を演奏するときの毎度のお決まりフレーズに少し変化が見られるのもおもしろい。ちなみにこの曲からラストに至るまでだんだん演奏がだれてくる。実際のライブの曲順とは違うかもしれないけどね。逆に「I Want To Be Happy」は非常に余裕のある演奏で、しっかりまとまっている。

「Easy Living」については、80年代のレパートリーという印象があるので、意外感がある。「Summertime」も60年代のゲイリー・バートン時代のレパートリーという印象を持っていたので、同じく選曲に意外な感じ。こっちの方がアレンジは普通なんだけど。

いえ、いま思いつかないだけで、探したら50年代の録音もあるかもしれません。

At Nalen-Live in the Swedish Harlem

At Nalen-Live in the Swedish Harlem

 

Anniversary

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87年のライブ。ジャケットの写真はゲッツが最後に愛した女性、サマンサ・セセーニャ。このアルバムの収録にもれたのが後年「Serenity」として発表されるんだけど、どちらも文句ない内容。

こっちは1曲をのぞいてバラードとミディアムテンポ。どの演奏も神憑っていて、吸い込まれるよう。バラードの美しさなんか他の追随を許さない。唯一のアップテンポがラスト前の「What Is This Things Called Love?」で、アルバムのクライマックス。普通のスタンダードをこんなに盛り上げることができるのはさすが。どの曲もゲッツと、そしてケニー・バロンが光っている。

このアルバム、当初日本盤は「星影のステラ」という邦題で発売された。スタンダード至上主義の納得いかないマーケティングだなあと思っていたんだけど、実際に「Stella By Stalight」を聴いてみるとテンションという細い糸を綱渡りしたようなフレーズが星降る夜空の如くキラキラと輝き、「Stan Getz Plays」での奇跡とはまったく違うもう1つの奇跡が起こったことに気づきます。ほかの曲も抜群に良く、ゲッツはカフェ・モンマルトルと相性が良かったということに納得させられます。

真ん中に位置する「I Thought About You」はCD追加曲なんだそうだけど、あまりにもいい出来で、美の極地とも言えるバラード演奏。これだったら「Blood Count」をオリジナルレコードからはずしたほうが良かったんじゃないのかなと思う。

ところで「Blood Count」はビリー・ストレイホーンが最後に発表した曲だそうです。後年のゲッツはこの曲を気にいっていたようでいろんな録音が残っているけど、70年代にはストレイホーンの実質的デビュー曲「Lush Life」を何度も演奏していた。おもしろい因果を感じるというか何か秘めたストーリーがありそうな事実です。

このライブは映像作品も発表されているので、ぜひそちらもお薦めします。

 

Anniversary

Anniversary

 

 

Stan Getz - In Copenhagen 1987 [DVD] [Import]

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Ella Fitzgerald At The Opera House

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エラ・フィッツジェラルドはジャズ界最大のボーカリストだと思う。ほかにも大物はいるけど、エンターテインメント性や進取性を考えるとやはりエラに軍配があがる。

このオペラハウス録音は、バックにコールマン・ホーキンスレスター・ヤング、ロイ・エルドリッジやJ.J.ジョンソン、そしてゲッツなどを従えた豪華メンバー。はっきりいってかなりの名盤。

ところが、これがまたゲッツのソロはまったくない。というかベルリンライブのとき同様、エラの歌のみフィーチャーされている。それを可能にするスター性、納得できる人気、まったく飽きさせないすごいパフォーマンスだけど、「ゲッツ参加」ということで聴いてみるとガックリくるかもしれない。そういう期待を持たずに聴けば満足すること間違いなしですけど。

 

At The Opera House + 1

At The Opera House + 1