このシリーズでほかにもいろいろあるらしい。アマゾンで探すと同タイトル別ミュージシャンでたくさん出てくる。ラスベガス、トロピカルホテルのブルールームというところでのライブ録音。
ゲッツのこのライブ録音は1966年10月22日とあり、ディスコグラフィーには載っていない。録音年月日データがあるわりにはパーソネルは不明。でも、ヴァイヴはゲイリー・バートンだし、このドラムは明らかにロイ・ヘインズ。ベーシストについては、残されている11月4日や13日の録音ではベーシストがスティーブ・スワロウ、11月6日の録音ではベーシストがチャック・イスラエルズなのでそのどちらかなのではないかと思う。よくわからないけど聴いているとスワロウの方なのかなとも思う。
1曲目「Desafinado」は2コーラス目以降「Chega De Saudade」になり、10分間、最後までそれでいく。それなら曲の表記は「Chega De Saudade」のほうがよかったんじゃないかと思う。ゲッツはわりとエモーショナルな演奏をしている。最後の方の高音など、キンキンするくらい。わるくない。わるいのはドラム。1966年のアメリカではまだこんなものなのか。いや、しかしそれを考慮してもまったくボサノヴァを理解していないテキトーな、そしてうるさすぎるドラムはトム・ジョビンに対しても失礼だろう。ロックでやったほうがまだ確信犯的で許せる。テキトーなところにアクセントを持って来ればいいと思っているのではないか。音量についても無理解、無考え。ドタバタと、よくもまあここまでデタラメにやってボサノヴァでござい、と言えるものだ。
はっ、私は何を言ってるのだろう。これは典型的なロイ・ヘインズの叩き方であり、このいいかげんさはいつものことではないか。最初から期待してはいけないのだ。
続く「The Shadow Of Your Smile」が意外なスローテンポで、かっこいい。バートンのヴァイヴがいい雰囲気を作り出していて、すごい。でもなんだか正確なビートがつかめないなあと思って聴いていると・・・超スローのワルツなの?うーん、やっぱり4ビートらしいけど、録音状態のせいかドラムもよく聴こえず(いや、聴こえてもダメか?w)、よくわからないまま雰囲気だけで聴かせて終わる。
3曲目「Tonight I Shall Sleep」は前の曲の雰囲気を引っ張りながら、この頃のゲッツ・カルテットおなじみのムードと演奏。バートンのソロが美しい。この曲、この時期のバートン入りのバンドでしか聴けないのは、ゲッツが選んだレパートリーではないからかも。