スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

「The Knight Rides Again」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

Focus」の項で、「Night Rider」は「The Knight Rides Again」の元ネタだ、と言いました。「Night Rider」が収録されている「Focus」の録音は1961年。このアルバムはバックトラックとなる弦をエディ・ソーターが書いて、ゲッツがそれに乗って好き勝手に吹く、という画期的なアルバムでした。

このあとボサノヴァ時代に入り、嫌になって1964年にはゲイリー・バートン入りのカルテットを結成します。1964年3月4日にはスタジオで「Nobody Else But Me」を録音しますが、これはお蔵入りとなります。

1964年3月25日、「Live In London Vol.2」では「Night Rider」を演奏していますが、冒頭の4小節以外はまったく違う曲になっています。冒頭4小節は同じメロディです。クレジットはエディ・ソーターになっていますが、でもこれはゲッツが即興で吹いたメロディなんだよなあ、と思います。分かる人は、これを聴いて「Nobody Else But Me」に収録されている「Out of Focus」と同じ曲ではないかと気づくはず。「Focusの外へ」?

で、「Out of Focus」のクレジットはゲイリー・バートンになっている。

そして1966年「Stan Getz Quartet In Paris」にはようやく「The Knight Rides Again」のタイトルで同じ曲が収録されていますが、クレジットはあのミュージカル作曲家フランク・レッサーとなっている。私の大好きな作曲家ですが、明らかに作風が違う。これは大間違いではないでしょうか。

すべて推測ですが、まずゲッツのアドリブよる「Focus」での「Night Rider」があり、その後、この冒頭のメロディをもとにバートンが「Out of Focus」というタイトルで曲を作り(「Focus」から借用したといういかにもそれらしいタイトル)、その後「Night Rider」の焼き直しということで「The Knight Rides Again」をつけられたのでしょう。「Live In London Vol.2」の音源が発掘された際、(カットされた)MCでそう言っていたのか誰かの勘違いかで「Night Rider」と記載されて。