スタン・ゲッツを聴く

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ゲッツのバラードの例のアレンジについて

ゲッツのバラードの例のアレンジ、すなわち、ピアノソロに移ってからテーマに戻らずゲッツも再登場せず、ピアノソロがそのままリタルダントでエンディングになる、あれです。すごくかっこいい。バラード演奏はスローなのでダレることも多く、ダレることを避けるとソロを十分にとれない、全員がソロをとるのも長くなる、テーマを省略すると綺麗な部分がなくなる恐れもあるなど、いろいろジレンマがあるものですが(ジョン・コルトレーンプレステージ時代のように、10分以上かけて全員でソロ回しというわけにはいかない)、それをうまく解決したのがこのアレンジ。もっともゲッツはバラードでベーシストにソロをとらせませんが。

このアレンジでやっている曲と言えば、「We'll Be Together Again」「Lover Man」「I Can't Get Started」「Soul Eyes」「A Time For Love」「Spring Is Here」「I Thought About You」「Warm Valley」など。ほかにもあるかな。ただ、このアレンジはゲッツのキャリアの初期からのものではありません。どうも調べてみると、アルバート・デイリーと「Lover Man」を演奏していたときがその始まりのようです。ライブでもスタジオでもこのアレンジでけっこう「Lover Man」を演奏しています。多分一番古い音源が「Broadcasts/ Stan Getz, Gerry Mulligan」かな。その翌月ビル・エヴァンスとの「But Beautiful」でもこのアレンジで演奏しています。

後年のケニー・バロンの演奏と違って、デイリーはリタルダントしてからのカデンツァが長すぎる。ホントいやになるくらい。

この「The Master」でのテイクが特に顕著かな。でもこのアルバム、全体的にすばらしすぎて、そんなことどうでもよくなるくらいなんですけどね。ある意味ゲッツの最高傑作と言ってもくらい。デイリーのくせにw