スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

一度手放してしまったアルバムの話

ほかのところでも触れましたが、私はゲッツのアルバムを手放したことがあります(この時点で背信者)。その数年後に再び買いましたが。

その手放したアルバムとは以下の3枚。

・「BIg Band Bossa Nova

・「Getz/Gilberto #2

・「Sweet Rain

うう、恥ずかしい。最初買ったときはこれらのアルバムの魅力がわからなかったんです。特に「Sweet Rain」なんてとんでもない名盤なのに。いまは、このうち2枚は愛聴盤。ちなみにコンピCDの音源がダブることで処分したというのはたくさんあります。

さて、この3枚を見てなんとなく手放した理由もしくは3枚の共通点がわかるでしょうか。

それは「こんなのボサノヴァじゃない!」ということです。当時(も今も)ブラジル音楽が大好きだった私は、シンプルなボサノヴァとは全く違う、アメリカナイズされたゴージャスな「BIg Band Bossa Nova」を聴いて「これは違う!」と思い、もう完全にジャズになっちゃって全員力任せにプレイしている「Sweet Rain」収録の「O Grande Amor」を聴いてうんざりし、ついでにジョアン・ジルベルトとのコラボがボロボロでステージの体をなしておらずゲッツはすっかりボサノヴァをやめているのにボサノヴァアルバムであるかのように装った「Getz/Gilberto #2」を聴いて愕然としたのでした。

しかし、手放してから考え直して、数年後に買って聴いてみたら、まったく問題なし。ボサノヴァであるか否かでなく、とにかくゲッツのジャズなんですよね。愚かだったなあと反省しました。一言でいうと、無駄に「ジャンルにこだわってしまった」ということです。「ボサノヴァはこうあるべきだ」「ジャズとはこういう音楽だ」という、音楽を愛するには百害あって一利なしの考え方にとらわれてしまった。ちなみに、ジャンル分け自体は意味があると思います。たまに「ボクにとってジャンルなんて関係ない。なぜみんなジャンル分けをするんだい?」というインタビュー記事がありますが、ジャンル分けには意味がある。自分の好みの傾向の音楽を探しやすいから。常に羅針盤なくすべての音楽が漂う中で好みのものを探すのは大変。その中で好きになったものがあれば、そのジャンル関係でいろいろなものを聴いて好みを広げていくということは効率的だし効果的です。ジャンル自体は無意味ではありません。分けにくいものがあることも事実ですけど、それは別の話。

 

ところでここまで読んで「おい、そんなに言うならなぜ「Jazz Samba」を手放さなかったんだ?あれこそ全然ボサノヴァじゃないだろ」と思う人も多いでしょう。いや、でも、あれは力任せにドラムを叩くようなものではなくそれなりにボサノヴァを考えてシンプルさを追求していたのでいいんですよ。まったくボサノヴァではないけど・・・