スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Complete In Paris 1971

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「Jazztime」というレーベルなのでしょうか、「ステレオサウンドボードレコーディング」というのは会社名でなく単なる音源メディアの話?海賊盤をたくさん販売しているところのCD-R商品です。ジャケットからも海賊盤であることがよく伝わってきます。ファンの間では有名すぎる写真を使ってるし、そもそもこのアルバムではソプラノサックスなど吹いていませんし(プレステージジョン・コルトレーン状態w)。ところがこれが非常によい内容。

内容は1971年の、例のオルガントリオとのライブ。ギターのルネ・トーマス(トーマ)、オルガンのエディ・ルイス、ドラムスはバーナード・ルバートと読むのかな。

人によってはゲッツがもっともつまらなかった時期と言うかもしれない。確かに既存の「Stan Getz - Rene Thomas Quartet / Live In Loosdrecht 1971 」はイマイチだったかもしれないけど、この海賊盤はこれまで発表されたオルガントリオとの編成の中で一番エキサイティング。いつもは「またか」と思っていた「Our Kind Of Sabi」や「Theme For Emmanuel」もルネ・トーマスによるギターの導入がかっこよくて、なんだルネ、やればできるじゃないか、と偉そうに思ってしまいました。また、アルバム「Dynasty」収録バージョンでは長すぎた「Mona」も半分くらいの長さになっていて、なんだこの曲も悪くないじゃないか、と思いましたね。ゲッツのオルガン時代をあまり好きでない人にはまず聴いてもらいたい。あ、それは私でした。「Stan Getz - Rene Thomas Quartet / Live In Loosdrecht 1971 」での評価が180度変わってしまいました。

ゲッツ自体は相変わらず好調です。というか、この編成のゲッツはいつも同じフレーズを吹いているような気がするけど。

ところでこのアルバムの一番の聴きどころは、「Chega De Saudade」。15分以上のテイクです。まず、この曲をメドレー等でなく普通にソロ回しとして演奏していることが珍しい(いつもは早々に「Desafinado」にメドレーで移りますから)、またゲッツにとってはオルガントリオとの演奏によるボサノヴァ曲というのも珍しい(ブラジルでは珍しくないですが)。とはいえワルター・ワンダレイのようにはなっていません。

ちなみに、現時点の話ですが、Youtubeには同じ音源ではありませんがこの編成での演奏の動画がアップされています。ちょっと長髪っぽいゲッツ、いつも変わらない風貌のルネなど、一見の価値あり。