ゲッツが過去に在籍していたベニー・グッドマン・オーケストラ。グッドマンは性格的にはバッドマンだったようで、自分よりスターになっている旧メンバーに対していい気分ではなかったかも。もっとも、「性格的にはバッドマン」はゲッツも同様、意外と気が合ったのかもしれない。
ハリウッドで録音されたこのアルバムは全21曲、うちゲッツ参加は17曲で、そのうちここでは「Bugle Call Rag」「Don't Be That Way」「Slipped Disc」「One O'clock Jump」「Jersey Bounce」「Sometime I'm Happy」と、6曲でゲッツのソロが聴ける。スイングだからソロも短いけど、単なるアンサンブル要員かと期待していなかった私としては想定外だったのでうれしかったです。ちなみにアルバム「West Coast Jazz」で名演を聴かせた「Shine」は、ゲッツのソロがないどころかグッドマンがばーっと吹いて、1分もせずに終わる。ゲッツ自身が「映画のために撮影されたものはほとんど捨てられる」ということで、あえてここでやった曲をそのままハリウッドで録音したのが、あの「West Coast Jazz」です。
不思議なことにゲッツの音色が50年代前半のサウンドに聴こえる。わざわざなのかたまたまなのか、または気のせいなのかわからないけど、このときはブリルハートのマウスピースだったのかなと思う。
ところで注意事項を2つ。まず、同じジャケットでも20曲しか入っていないものがあります。輸入盤で、よく見ると英語で「CDの時間の関係でオリジナルから1曲カットしました」などと書いてある!よりによってそのカットされた曲は、ゲッツのソロが聴ける「Sometime I'm Happy」なんですよ。ふざけています。それからもう1つ、「ベニーグッドマン物語」という同タイトル別ジャケットの、ゲッツが参加していないアルバムもあるので注意。このジャケットを探しましょう。