スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Mad About The Boy /Cybill Shepherd

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女優シビル・シェパードのボーカルアルバムだけど、とことんゲッツをフィーチャーしている。「ゲッツは歌伴がうまい」といわれているけど、間奏でのソロ以外で実際にゲッツの歌伴をあげられる人は少なかったりする。アストラッド・ジルベルトとの共演もオブリではなく間奏のみというのが多い。でも、このシビルのアルバムでは全編にわたってゲッツが歌伴を繰り広げる。

選曲がまた良い。アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「Triste」やスタンダードナンバーの「I Can't Get Started」「I'm Old Fashioned」「It Never Entered My Mind」、映画「シェルブールの雨傘」で歌われていた、知る人ぞ知る(なのかな)ミシェル・ルグランの「I'm Falling In Love Again」など。個人的には好きではない「This Masquerade」も人気曲、これをゲッツがイントロから吹くのだからレアである。

このアルバムは、アレンジがとにかく良い。なんとオスカル・カストロ・ネヴィス。「オスカー」ではないですよ。冒頭「Triste」のイントロからしてキャッチ―、1コーラス歌を入れたらあとはゲッツの独壇場という構成。「I Can't Get Started」は、ヴァースを歌ったあとにコーラスがゲッツによるインスト、そしてかっこいいエンディング。「Speak Low」でリズムが変わるところもゾクッとするし、「I'm Falling In Love Again」で歌声を伸ばしたところにゲッツが重なる瞬間とか、とにかく歌とゲッツのからみがすばらしい。

 

ついでにいうと、「This masquerade」も収録されています。ゲッツがこれを演奏するとは。なんとこのアルバムの録音はジョージ・ベンソンの同曲の録音と同じ年なんですよ。

 

Mad About the Boy
Mad About the Boy