スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Like Someone In Love /Ella Fitzgerald

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エラ・フィッツジェラルドのバラード集。うち7曲はストリングスを入れて、ゲッツが歌伴で参加。ゲッツが思い切りフィーチャーされているのがうれしい。前年(1956年)に同じくヴァーヴで録音されたアニタ・オデイのアルバムは、ゲッツが5曲参加するもソロは1曲という塩対応ぶりだったのに、この落差はなぜ?

参加曲には名バラードがずらり。選曲を見てみましょう、

There's A Lull In My Life

What Will I Tell My Heart

Midnight Sun

You're Blase

What's New

Hurry Home

How Long Has This Been Going On

どうですか、知らない曲もあるけどすごく期待できる。

「What Will I Tell My Heart」のイントロは「Charlie Parker with strings」の雰囲気とそっくりで、アレンジャーが一緒なのかな、とも思う。わからないけど。「Midnight Sun」もちゃんとバラードになっている。よく、「ゲッツは歌伴が上手」と言われるけど、ボサノヴァ時代の演奏を聴いていると「そうかなあ」と思う。でもこのアルバムを聴くと納得できる。

あと、このアルバムのポイントは「You're Blase」が入っていること。1956年や1981年のゲッツの名演が心に残る曲で、ゲッツのソロが非常にムードを醸し出す。1950年頃に見られた、暗闇の中から囁き聴こえてくる感じの演奏です。このアルバムの録音は1957年、エラがここで歌っているのはゲッツから教えてもらったからなのか、当時はそれなりに有名な曲だったからなのか。ゲッツ以外の演奏は知らないけど。

 

ディスコグラフィを見てると、ノーマン・グランツのすごさというかあこぎさがよくわかる。この頃、JATPで集中的に公演を行い、いろいろより分けてゲッツのアルバムにしたりエラのアルバムにしたりJATPの名義にしたり。まったく同じ日に録音されている曲が複数のアルバムに、ちゃんとリーダー別に分かれて整然と収録されていたりする(ジョン・コルトレーンヴィレッジヴァンガードライブとは違います)。そして1週間後にはスタジオに入ってこのアルバムを作ったり。忙しかったんですね。

 

ライク・サムワン・イン・ラヴ

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