スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Live In London Vol.2

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Vol.1」でもいったとおり、録音バランスのわるさとピアニストのスタン・トレーシーのまずさが気になってしょうがなかった。ピアニストについて、日本語ライナーでは「個性が強い」という表現をしているが、そういうものではなく、あまりのひどさに怒りすら感じたものです。

 

ところが、このスタン・トレーシーは、イギリスジャズ界のゴッドファーザーと呼ばれる存在だったんですね。昔からジャズの人でした。バップもできるそうだけどネットの動画を見たら少なくともフリーが本職らしく、本人はこのロンドンのライブと同じようなことをやってるのにちゃんとはまっていて、これはそもそもゲッツとの共演が間違いだったんだなと気づきました。私の音楽鑑賞力がまだまだでしたね。

私が当初いかにトレーシーを受け入れられなかったのか、最初にブログに載せた文章を以下に示します。

 

『ピアニスト、スタン・トレーシーは少なくともこれまではジャズ以外のフィールドで活動してきた人なのだろう、ヘタクソではないがあまりにもジャズを甘く見すぎている。「ジャズ?あんなの簡単だよ」と言ってそうだ。彼のソロ(?)は、フレーズでもなんでもなく、単に不協和音にならないような音を単音で連ねたり和音としてガンガン鳴らしているだけ。その和音のヴォイシングもジャズではないし、タイミングもジャズでない。構成もないし、フリーではないけどデタラメに近い。いや、けっこう不協和音になっている。意図的なのかもしれない。

例えていうなら、ジャズ要素をまったく消し去ったデイヴ・ブルーベックに上っ面だけのセロニアス・モンクの物まねをスパイスとして振りかけた感じといおうか。もしかしたら素人の方がましかもしれない。

とにかくピアニストが最悪で、聴いていて具合が悪くなるほどのアルバム。ライナーにはゲッツがこのピアニストのことを「気にいっている」なんて言ったと書いてあるけど、アメリカ人特有のリップサービスでしょ。この曲の冒頭のピアノを聴けば私の言っている意味、怒りがわかると思います。怖いもの見たさでぜひ聴いてほしいアルバム。

私としては、内容最低レベル「Plays Music From The Soundtrack Of Mickey One」や音質最低「Broadcasts/ Stan Getz, Gerry Mulligan」よりも手が伸びないものですけど。』

 

ざっとこんな感じです。最初からフリーとして聴けば違ったんだけど、ゲッツとの共演だったものだから「なんだこれは、ダメだ」と思ったのでしょうね。もしかしたらゲッツとセロニアス・モンクの共演があったら同じように思っていたかも。モンクは、彼のトリオの録音は好きなんですけど。

 

と、全然アルバムの話になっていなかった。ここで聴かれる曲はゲイリー・バートン入りカルテット時代のレパートリーばかり。バートンがいないのが不思議な感じで、バートン時代のレパートリーをピアノとのカルテットで演奏しているというのは興味深いかもしれない。

ゲッツは生涯最高速に近いテンポで「What Is This Thing Called Love?」を演奏している。トレーシーはゲッツのソロのバックでは一切弾かずにピアノレストリオ状態。ゲッツのソロが終わる直以前に、いきなりまったく違和感を伴う和音が「ガン!」と出てきて、ソロ交代する。ちょっとこれも一般的なジャズの和音じゃないから「ん?」と思うのです。

2曲目のタイトルは「Waltz For A Beautiful Wife」となっているけど、間違いですね、正確には「Waltz For A Lovely Wife」。まあ、悪いことばかりでなく、ラロ・シフリンの「Reflections」を演奏してくれているのはすごくうれしいし、日本人にはあまり価値がないかもしれないけど、最後に7分間のゲッツのインタビューが入っているのも貴重。英語がわからない私は当然聴かずにCDを止めますけどねw

 

Vol. 2-Live in London

Vol. 2-Live in London