スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Soul Eyes

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つぶれた写真のトホホさにつられてはいけない。大名盤である。1989年の6月29日ライブと7月27日ライブを収録。

聴き飽きているはずの「Voyage」「Blood Count」もやはり何度聴いてもすばらしい。単なるスローブルースなのにどうして盛り上がるのかわからない「Stan’s Blues」も、やっぱりエキサイトしてしまう。聴衆も怒涛の拍手。こんなやる気のないブルースが、なぜ。それだけゲッツの演奏がすばらしいということ。

ケニー・バロンのオリジナル「Feijada」もリラックスしていていい演奏。 とにかく80年代ゲッツははずれなし。

有名スタンダードの「On A Slow Boat To China」を聴けるのはこれともう1枚、「Final Concert Recording」だけ。ここでの演奏は神がかっているといっても過言ではない。この曲はゲッツに演奏されるために存在するのではないかと思えるほど。

 そしてこのアルバムの白眉は、あの「Warm Valley」。傑作エリントンナンバーをゲッツが1ホーンで披露します。すばらしすぎる。私が最も好きなエリントンナンバーがこれと、「Don't You Know I Care」です。後者はゲッツの演奏記録はありませんけど。とにかく、ゲッツが「Warm Valley」を演奏してくれるとは。感動です。バラードではありますが、リラックスして聴くというより、一音たりとも聴き逃がせない緊張感を持っています。

 ラスト「Hush-A-Bye」は、ゲッツは原曲とは違うメロディを演奏する。「People Time」でもそうだったよね。私も見習って、自分が演奏するときはこっちのリフにしています。この、少し遅めのテンポと静かさが、アルバムをビシッと締めます。前の、スローからの流れが、ワンパターンでなくライブそのものを引き締めている感じがしますね。演奏順は本当はこのとおりじゃないのだろうけど。

 

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