オスカー・ピーターソンのトリオはエド・シグペン参加以降の方が好きなので、このドラムレストリオとの共演はまったく期待していなかった。ところが、大間違い。とんでもなくスイングするのだ。ゲッツも名フレーズの洪水。生涯のベストの1枚といっても過言ではない。
モカンボ・セッションでもおなじみの「I Want To Be Happy」からぐいぐいと引っ張る、それをピーターソンが受けて飛ばしまくる。好みを別にすれば、これこそゲッツの最高のソロなのではないかな。テンポが速いのによくもこんなフレーズが出てくるものだ。参考になるフレーズがいくつもあります。
ストーリーヴィルで奇跡的名演をした「Pennies From Heaven」も、やや落ち着きながら絶妙なソロをとる。それから、バラードメドレーはゲッツの番が2回あるのがうれしい。おまけに「Bewitched」なんてけっこうレアではないでしょうか。
ゲッツ名義となっている「Tour's End」は、案の定テーマなしで「Sweet Geogia Brown」のコードに基づいて演奏しているだけ。作曲ではないw ラストの「Bronx Blues」もゲッツ作曲となっているけどやっぱりリフはないし、何よりいきなりハーブ・エリスお得意の、どブルースが始まるわけで、これは単にエリス主導でブルースを演奏して、ゲッツ名義でタイトルをつけただけでしょう。その他、スタンダードの「I'm Glad There Is You」や「I Was Doing All Right」など、リラックスして聴ける名演が入っている。
ところでCDでは4曲追加なんだけど、なんとこれがどれも落とせない、レコード収録曲と遜色がないレベル。追加収録されてホントによかった。しかしこれだけの名演、どうせだったら「Stan Getz At The Shrine」のようにもう少し録音して2枚組にすればよかったのに。ドラムレスのリズムセクションはすでにあまり聴かれない時代だったから売れないと思ったのかもしれないし(わからないけど)、実際にやはり少し古臭いとも思うのだけど、これは相当の傑作です。
Stan Getz & the Oscar Peterson Trio
- アーティスト: Stan Getz
- 出版社/メーカー: Essential Jazz Class
- 発売日: 2011/03/01
- メディア: CD
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